産業用電線を手掛ける株式会社フジクラ(本社:東京都江東区/取締役社長:伊藤雅彦)は2021年10月18日から、車内カメラとAI(人工知能)技術を使った画像解析技術によって、バスの乗客の安全を監視する実証実験を開始する。
実証実験は山梨県甲府市で、実際に営業走行している路線バスで行う。実際に営業走行している路線バスでこうした実証実験を行うのは、日本初だという。
実証実験は、山梨を中心にバス事業を展開する山梨交通と、独自アルゴリズムによる画像解析技術に強みを持つエジソンエーアイと共同で行う。
■高齢者などの転倒事故をAI技術で防ぐ
国土交通省の統計をベースにフジクラがまとめたところ、バスの車内で起きる事故の65%を占めるのは、バスの加減速時の高齢者の転倒だ。
今回の実証実験では、車内に設置したカメラの画像から乗客の姿勢を解析し、その状態を運転手がリアルタイムに把握できるようにするという。乗客の姿勢の把握には車内ミラーも使えるが死角もあり、今回の取り組みは車内での転倒事故減少に寄与すると考えられる。
ちなみに、乗客が着席していない場合には赤いランプが表示され、着席すると緑のランプが表示されるという。将来的にはバスが自動運転化された際の活用も目指しているようだ。
■次世代モビリティ社会への貢献を目指すフジクラ
1885年創業のフジクラは光ファイバーや電線、ワイヤーハーネスなどを製造するメーカーだ。2017年3月に「2030年ビジョン」を策定し、次世代モビリティ社会へ貢献することもビジョンに掲げている。スタートアップ企業とのコラボにも積極的なようだ。
乗客の転倒事故を防止するという取り組みは、バスの自動運転化に比べると地味な印象を受けるかもしれないが、しっかりとその技術を実装できれば、堂々たるイノベーションと言える。同社の今後の取り組みに、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「千葉のニュータウンで「顔決済」のMaaS実証始まる!コミュニティバスで」も参照。