エプソンの曲面プリンタ、車業界が熱視線 ラッピング広告と相性抜群!

カーシェアやタクシー車両で「貼り替え」簡単に





出典:エプソン製品ニュース/関連情報動画より

さまざまな曲面に印刷できるというセイコーエプソンの技術に、車業界がいま関心を寄せている。今後、カーシェアやタクシーの車体を使う「ラッピング広告」が広告媒体として注目されると考えられているからだ。この技術を使えば頻繁に広告主や広告デザインが変わっても、簡単に「貼り替え」ができる。

■「法人所有の車」ではラッピング広告が新たな収益源に

「所有から利用へ」という消費行動の変化は自動車業界にも影響を与えており、カーシェアやレンタカーの市場は今後拡大が見込まれている。カーシェアに着目すれば、市場規模は2030年には2018年比で約12倍になるという予測(富士経済・2020年3月発表)もある。







こうした変化は「法人所有の車」の割合が増えていくということを意味する。カーシェアもレンタカーも法人所有の車両を個人が利用する形だからだ。であれば個人所有ではない分、車体を使ったラッピング広告も展開しやすい。そしてラッピング広告を展開すれば、サービス事業者は新たな収益源を得ることができる。

「法人所有の車」は、EC(電子商取引)需要の今後の拡大によっても増えていく。荷物を運ぶための車両が増加していくからだ。カーシェアなどのサービス事業者と同様、物流事業者にとってもラッピング広告は新たな収益源となる。

こうしたことから、広告代理店を通じて車体を「面」として売るプラットフォームなどができれば、ラッピング広告は一気に流行することが考えられる。

【参考】関連記事としては「2030年には3.5倍に!MaaSの国内市場、あと10年で3兆円間近に」も参照。記事内でカーシェアの将来市場について言及しています。富士経済の発表内容は「MaaS の国内市場を調査カーシェア、駐車場シェアなどシェアサービスが急拡大|富士経済」を参照。

■「頻繁に変更できない」という課題をエプソンの技術が解決

ただ、ラッピング広告についてはこれまでいくつかの課題が指摘されていた。特に大きな課題として捉えられていたのは、広告を変更するための貼り替えに時間とコストが掛かるため、頻繁に変更ができないという点だ。この課題が解消されなければ掲載費用は自ずと高くなり、広告代理店も顧客に広告枠を売りにくくなる。

そこで活躍が期待されているのが、セイコーエプソンが開発している新技術だ。同社は今年1月下旬に開催された「3次元表面加飾技術展2020」で立体物表面印刷機を参考出展した。この立体物表面印刷機ではセンサーを使って印刷する表面の形状を把握することで、ロボットアームを使っての曲面へのインクジェット印刷を可能としている。(以下はセイコーエプソンがFacebookで公開している関連動画だ)

エプソン、立体物表面印刷機がアワードを受賞!耐久性が高く、インクや印刷メディアの適応性が高いエプソン独自のPrecisionCoreテクノロジーは、将来、想像もできないような用途で使用される可能性を秘めています。エプソンは、3次元表面加飾技術展2020で、PrecisionCoreプリントヘッドと自社製ロボットを組合わせ、曲面体への印刷など新しいインクジェット印刷の用途を紹介致しました。このデモンストレーションは高い評価をいただき、本イベントにおけるプロセス部門の“特別賞”を受賞しました。エプソンは、これからも独自の技術を磨き続け、独創のコアデバイスを基に、イノベーションをさらに加速させていきます。

Epsonさんの投稿 2020年3月12日木曜日

この技術を応用すれば、曲面が多い車のボディへの立体曲面印刷にも対応できるようになるはずだ。自動車や電車のラッピング広告はいまは主にフィルムが使われているが、もしセイコーエプソンの技術を導入することができれば直接車体にプリントすることができ、フィルムを貼るための熟練の技術も必要なくなる。

今回展示された立体物表面印刷機は自動車向けのものではないが、セイコーエプソンにはぜひ自動車産業向けにこのプリンターを改良したモデルを開発してほしいところだ。

■活用に向けて研究に乗り出している事業者も

こうしたセイコーエプソンの技術を自動車産業で活用しようと、早くも研究に乗り出している事業者もいる。福岡県福岡市で自動車工場を営むシバタ自動車の柴田敏宇氏は「エプソンが公開したこの新たな技術を使えば、広告デザインのラッピングが非常に容易になる」と自動運転ラボの取材に対して語る。

セイコーエプソンが将来的に自動車産業向けに開発した立体物表面印刷機が自社の自動車工場に導入できれば、広告代理店などと新たにビジネスをする機会も生まれる。柴田氏は「窓ガラスにシールを貼る広告はいまもあるが、ラッピング広告は視認性の観点からも非常にインパクトが強いはず」と意気込む。

MaaSサービスが普及する時代になると、シェアリング系のサービスはより利用が増える。そしてそうすれば、車体へのラッピング広告の需要も増えていく。つまり「自動車×ラッピング広告」の市場は非常に有望だ。印刷業界にとっては自動車業界にとっても、新たなビジネスチャンスと言えるだろう。

ちなみにラッピング広告の流行は、カーシェアやタクシーの利用者にとってもメリットがある。サービス事業者の収益性が高まる分、サービスの利用料金が安くなることも考えられるからだ。そのため、印刷業界と自動車業界の新たな挑戦は一利用者としても待ち遠しいものだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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