自動運転関連の投資信託・ETF一覧(2023年最新版)

新興EVメーカーや半導体企業も投資対象に

B!

VCなどが多額の資金を投じ始めている自動運転業界。次々と頭角を現すスタートアップやベンチャー企業への先行投資をはじめ、自動運転技術に関連した製品開発などを手掛ける上場企業にも投資の目は向けられており、近年は個人投資家向けに自動運転銘柄をピックアップした投資信託やETF(上場投資信託)も登場している。

日本の投資信託としては「グローバル自動運転関連株式ファンド」と「eMAXIS Neo 自動運転」がある。それぞれどのような銘柄を選択しているのか。そして運用成績はどのようになっているのか。またアメリカの自動運転関連のETF(上場投資信託)にはどのようなものがあるのか?

2023年7月時点の情報をもとに解説していく。

<記事の更新情報>
・2023年7月28日:各投資信託・ETFの情報をアップデート
・2020年9月30日:記事初稿を公開

■投資信託「グローバル自動運転関連株式ファンド」
出典:「グローバル自動運転関連株式ファンド」紹介ページ

三井住友DSアセットマネジメントが運用するファンドで、自動運転技術の進化・普及により業績拡大が期待される日本を含む世界の企業の株式を対象に投資している。2017年に募集が開始された。

米国の独立系運用会社ニューバーガー・バーマン・グループが運用会社として自動運転の実現に必要な技術の競争状況を分析し、ポートフォリオを構築する「オートノマス・ビークル・ファンド」に約96%が投資されている。

同ファンドは、世界の上場企業主要3,000社のうち、米国をはじめ35カ国約1,500銘柄の中から自動運転関連の売上高または研究開発支出が全体の5%超の約200銘柄を抽出。個別銘柄の詳細調査を行い、35~65銘柄程度でポートフォリオを組み、投資魅力度を基に流動性、国別配分、セクター別配分を考慮してウェイトを決定している。

運用開始時点(2017年4月)の基準価額は1万円で、2023年7月27日時点の基準価額は21,350円(「為替ヘッジなし」の場合)となっている。以下は2023年6⽉30⽇時点の組⼊上位10銘柄。

▼グローバル自動運転関連株式ファンド
https://www.smd-am.co.jp/fund/177106/

■投資信託「eMAXIS Neo 自動運転」
出典:「eMAXIS Neo 自動運転」紹介ページ

三菱UFJ国際投信が運用するファンドで、米国の金融商品取引所に上場している日本を含む世界各国の自動運転関連企業の株式などに投資を行い、自動運転企業のパフォーマンスを測定するよう設計されたS&P Kensho自動運転車指数に連動することを目指すよう運用されている。2019年に募集が開始された。

運用は主に自動運転関連株式インデックスマザーファンドへの投資を通じるファミリーファンド方式によって行っており、ベンチマーク採用銘柄を主要投資対象に据え、モニタリング結果に加えファンドの資金動向やベンチマーク構成の変動などを考慮してポートフォリオ案を作成している。

運用開始時点(2019年5月)の基準価額は1万円で、2023年7月27日で基準価額は2万6,564となっている。以下は2023年6⽉30⽇時点の組⼊上位10銘柄だ。ちなみにこの投資信託は同日時点で33銘柄で構成されている。

▼eMAXIS Neo 自動運転
https://emaxis.jp/fund/253585.html

■自動運転がテーマのETFは?

アメリカ市場に上場している自動運転がテーマのETF(上場投資信託)もある。「ARKQ」(ARK Autonomous Technology & Robotics ETF)、「IDRV」(iShares Self-Driving EV and Tech ETF)、「DRIV」(Global X Autonomous & Electric Vehicles ETF)などだ。

■ETF「ARKQ」(ARK Autonomous Technology & Robotics ETF)
出典:Trading View

ARKQの銘柄トップ10は以下の通りだ。

1位はテスラ。テスラはまだ自動運転機能を提供できていないが、有料オプションのFSD(Full Self-Driving)のアップデートにより、将来的に自動運転機能を提供することを目指している。自動運転タクシーサービスを商用化する計画もある。

4位のトリンブルはアメリカの計測機器メーカーで、GPSやレーザー、光学・慣性技術などを活用した位置情報サービスを提供している。日本企業のニコンと合弁企業を設立しており、自動運転システムや自律走行システムに役立つ技術の開発を進めている。

8位のディアはアメリカの大手農機メーカーで、自動運転トラクターなどの開発に力を入れている。

▼ARKQ
https://ark-funds.com/funds/arkq/

■ETF「IDRV」(iShares Self-Driving EV and Tech ETF)
出典:Trading View

IDRVの銘柄トップ10は以下の通りだ。

新興EVメーカーのRIVIAN AUTOMOTIVEが比率では首位となっており、2位は中国のEVメーカーのXPENG。Teslaは3位だ。全体的にEVメーカーが上位を占めている結果となっている。

▼IDRV公式ページ
https://www.ishares.com/us/products/307332/ishares-self-driving-ev-and-tech-etf

■ETF「DRIV」(Global X Autonomous & Electric Vehicles ETF)
出典:Trading View

DRIVの銘柄トップ10は以下の通りだ。

自動運転分野にも注力している半導体大手のNVIDIAが首位となっている。5位には日本のトヨタ自動車も入っている。

▼DRIV公式サイト
https://www.globalxetfs.com/funds/driv/

■ETF「EVAV」(Direxion Daily Electric and Autonomous Vehicles Bull 2X Shares)
出典:Trading View

比較的新しく設定されたETFとしては「Direxion Daily Electric and Autonomous Vehicles Bull 2X Shares」(EVAV)がある。構成銘柄の値動きの2倍の値動きをするレバレッジ型のETFで、テスラなどの大手企業だけではなく、新興EV企業などベンチャー系銘柄も多く含まれているのが特徴と言える。

EVAVの銘柄トップ10は以下の通りだ。

NIOやXpeng、Li Auto、Lucidなどの新興EVメーカーのほか、「自動運転の目」と呼ばれるLiDARを開発・製造するLuminar Technologiesなども含まれているのが特徴だ。

▼EVAV公式サイト
https://www.direxion.com/product/daily-electric-autonomous-vehicles-bull-2x-etf

■成長続ける自動運転業界

上場企業の株価はおおむね既存事業の業績に左右されるが、将来技術に関するニュースが株価を大きく上げることも珍しくない。また、そうした技術が将来実際に実装された際のインパクトは計り知れず、中長期目線で投資対象とするケースも多い。

自動運転技術は現在、自家用車向けのレベル3や移動サービス向けのレベル4の社会実装がようやく始まった段階だ。これから訪れる普及期は、自動運転システムの高機能化・高信頼性化が図られるとともに通信設備や情報処理設備、インフラ整備など本格的に実需に結び付いていく時期となる。

米調査会社のGrand View Researchによると、2030年までの自動運転市場は年平均成長率(CAGR)63.1%で成長するという。また、LiDARや車載向け半導体、車載インフォテインメント、デジタルマップ、HMIなど、軒並み市場規模を数倍から数百倍まで拡大するという予測が各調査会社から発表されており、自動運転業界が成長分野であることは否定できないだろう。

もちろん、業界全体が右肩上がりの成長を続けるからと言ってリスクがないわけではない。競争の結果敗れる企業もあれば、次々と誕生する最先端技術の波にのまれるケースもあるだろう。

■【まとめ】有望性あふれる自動運転は投資の花形に?

自動運転分野の有望性はもはや語るまでもないことだろう。投資対象として非常に大きな魅力を有するが、分散投資などによるリスクヘッジを怠ってはならない。その意味では、専門家による分析のもとポートフォリオが組まれている投資信託はお勧めなのかもしれない。

投資信託に身を投じるも良し、抽選必然のIPO(新規株式公開)狙いでスタートアップに目を付けておくのも良し、上場企業の最新情報に網を張っておくのも良し、だ。いずれにしろ「投資は自己責任」が原則となるが、少額であれ自動運転業界の発展に寄与した気持ちを持てることが最大のメリットかもしれない。

※編注:この記事は特定の株式銘柄への投資を推奨するものではありません。

■関連FAQ

(初稿公開日:2020年9月30日/最終更新日/2023年7月28日)

【参考】関連記事としては「自動運転、米国株・日本株の銘柄一覧」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
前の記事翼を畳めば公道も走行!米ASKAの空飛ぶクルマ、型式証明を申請
次の記事完全自動運転の1人乗りタクシー、広島のベンチャーが展開へ
関連記事