独自動車大手アウディは2021年9月14日までに、新たなコンセプトカーを発表した。「sphere」コンセプトカーの第2弾となる「Audi grandsphere」で、自動運転レベル4(高度運転自動化)の技術の搭載を想定したEV(電気自動車)だ。
車内インテリアにもこだわったラグジュアリーセダンに仕上げたことも特徴だ。自動運転時代には運転手だった人が運転から解放され、車内でさまざまな時間の過ごし方をするようになる。そのことを見据え、車内で価値ある時間を過ごせるよう工夫している。
■自動運転モードではハンドルやブレーキを格納
Audi grandsphereに搭載する予定である自動運転レベル4は、高速道路や都市環境下といった「限定領域」においてのみ完全自動運転ができる技術水準を指す。つまり限定領域内においては、運転手が運転操作に参加することは想定されていない。
そのため、Audi grandsphereでは手動運転モードと自動運転モードが選べるが、自動運転モードになるとステアリングホイール(ハンドル)とペダル類が格納され、ラウンジのように広々と車室空間を利用できるようになるという。
また、人が乗った状態で自動運転モードにすることも可能だが、人が誰も乗っていない状態で、自動運転車に自分を迎えに来させることも可能らしい。自動運転車が迎えに行く人の現在地の情報を通信で取得して、その場所まで無人走行するという仕組みだ。
そのほか、駐車や充電も自動運転で可能であるという。
■アイトラッキングでディスプレイ操作も可能
車内では、景色の良い場所を案内するルートガイダンスや、飲食店などに関する情報も提供する。いわゆる「インフォテインメントシステム」のことだ。
インフォテインメントシステムはディスプレイなどを通じて利用が可能で、ディスプレイの操作に関しては手でタッチして操作できるだけではなく、アイトラッキング(視点の追跡)やジェスチャーでのコントロールも可能になるとのことだ。
Audiはプレスリリースで「自宅で利用している音楽や動画配信サービスと、車載ストリーミングサービスをリンクさせるなど、カスタマイズされたインフォテインメントオプションも利用できます」とも説明している。
■来るべきときに備えているAudi
Audiの自動運転技術に関して、自動運転レベル3で走行可能な「A8」を世界でいち早くローンチしたことで話題になったが、法規制などもありA8でレベル3の機能は使えておらず、いまのところ市販車に搭載されている技術はレベル2の水準にとどまる。
その一方でAudiはこのコンセプトカーからも分かるように、レベル3の上をいくレベル4の構想を持ち、技術開発を進めている。自動運転レベル4を公道デビューさせるにはレベル3以上に法整備が必要となるが、Audiは来るべきときに備えている。
▼未来を見据えたファーストクラス|Audi
https://www.audi-press.jp/press-releases/2021/b7rqqm000001ifdu.html
【参考】関連記事としては「自動運転時はハンドル格納 アウディの「AI:ME」が色々凄い」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)