自動運転に重要な「エッジAI」開発のエイシング、7億円資金調達

開発体制や人材の育成を強化へ



自動運転領域で「エッジAI」の需要が高まる中、独自のAIアルゴリズムシリーズを提供する株式会社エイジング(本社:東京都港区/代表取締役社長:出澤純一)が総額7億円の資金調達を行ったことを発表した。


エッジAIとは、クラウド側ではなくエッジ(導入機器)側に組み込んで利用するAIのことだ。エッジ側でAIが学習と予測を行うことでクラウドとの通信遅延といった問題が無くなるメリットがある。

特に自動運転領域では高いリアルタイム性が求められるため、エッジAIが果たす役割は大きい。急な歩行者の飛び出しに自動運転車が対応する必要があるときは、従来のクラウド側で処理するAIでは対応が間に合わないのだ。

エイジングが今回の資金調達でさらにエッジAIに関する技術力を高めれば、自動運転業界からの関心も一層集まることが予想される。

■エイジングは岩手大学発のAIベンチャー

エイジングは岩手大学発のAIベンチャー企業だ。2016年12月に設立され、独自のエッジAIアルゴリズム「AiiR」シリーズを提供していることで知られる。これまでに「大学発ベンチャー表彰2018~Award for Academic Startups~」で経済産業大臣賞、2018年3月の「起業家万博」で総務大臣賞を受賞するなど、存在感を高めている。


事業拡大の段階となる「シリーズB」ラウンドとして、第一生命保険と未来創生2号ファンド、MSIVC2018V投資事業有限責任組合から計7億円の資金調達を実施した。同社は2017年に実施した「シリーズA」ラウンドでは約2億円を調達しており、これまでの累計調達金額は約9億円に上った。

報道発表では調達した資金について、開発体制の強化や人材の育成、エッジAIアルゴリズムの商用化に向けた活動に充てることが説明されている。グローバル展開も視野に入れているという。

同社の出澤純一代表取締役CEOは「エッジAI市場において他に類を見ない新アルゴリズムの研究開発に注力し、顧客提案力を強化するとともに、グローバル展開に向けて人材の育成及び優秀な人材の確保にも注力して参ります」とコメントしている。今後の取り組みに引き続き関心が集まるそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転に必須の「エッジAI」とは?」も参照。



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