無人運転が可能となる自動運転レベル4以上の車両に、遠隔で車内を監視できるカメラを設置することが義務付けられることになった。メーカーなどは運行管理センターを設け、自動運転車の走行中は必要に応じて確認できるようにすることが求められるとみられる。
国土交通省は2018年9月24日までに、高度な技術が必要とされる自動運転レベル3(条件付き運転自動化)と自動運転レベル4(高度運転自動化)の技術を搭載した自動運転車に関して、安全技術ガイドラインを作成したと発表した。監視カメラの義務付け内容はこのガイドラインの中で触れられている。
ガイドラインの目的は「自動運転システムが引き起こす人身事故がゼロとなる社会の実現を目指す」(国土交通省)こと。事故を防ぐための具体的な方策として、ドライバーモニタリング機能の装備やサイバーセキュリティ対策、ユーザーへの情報提供といった要件を設定した。
発表されたガイドラインの対象となる車両は、自動運転レベル3と自動運転レベル4のシステムを擁する乗用車とトラック、バス。これら該当車輌は政府全体で市場化目標が設定されていることもあり、今後早期の実用化が見込める車両として期待がかかっている。
ガイドラインの中でレベル3の自動運転車両は「システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行」「作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に適切に応答」するもの、レベル4の自動運転車両は「システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行」と定義されている。
■車内監視用カメラの設置など義務付け
「自動運転の安全性に関する要件」においては、自動運転車が制御不能な状態になってしまったときは、誰もいない場所に停車させるというシステム設定が義務付けられた。
また、データ記録装置の搭載のほか、自動運転ソフトなどのアップデートによるサイバーセキュリティ対策も必須としている。サイバー攻撃は近年多様化しており、コンピュータと同じように常に最新のセキュリティ対策が求められるという形だ。
人が全く運転に関与しなくても走行が可能となる自動運転レベル4の車両については、管理センターから車内の状況が監視できるカメラを設置することや、音声通信設備を装備することのほか、管理センターへの自動通報機能を有した非常停止ボタンを設置も義務付けた。
【参考】政府関係の自動運転に関する取り組みとしては、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)も挙げられる。詳しくは「内閣府SIP第2期「自動運転」を完全解説 目標や研究開発内容、実証実験の実施計画は?|自動運転ラボ」も参照。