
米国では自動運転タクシー(ロボタクシー)が走行するのは見慣れた光景になりつつある。しかし米国人の半数以上が「自動運転車に乗りたくない」と思っていることが判明した。
後述する「教育水準が高い人」「高所得者」ほど自動運転の社会受容性が高い──という傾向も興味深い。
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■米カリフォルニア大学の最新調査
この調査は米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)が行ったもので、60%以上の人が自動運転車に乗ることを避けると回答したという。また85%の人が、自動運転車が広く普及すると人間の仕事が奪われると考えていることも分かった。
日本ではまだ実用化されていないため、主に危険性が問題になっているロボタクシー。しかし普及が進む米国では、雇用喪失への不安感が自動運転の実装を阻む原因となっているのかもしれない。さらに米国人の多くが「自動運転車は所得格差を拡大させる」とも考えており、一歩進んだ視野を持つと感じられる。
■6割以上の米国人が「乗りたくない」
UCSDが今回発表した結果は、米シンクタンクのピュー・リサーチ・センターの調査「American Trends Panel」に参加した4,631人の米国の成人の回答を分析したものだ。
回答者のうち、62%以上が自動運転車には「おそらく」または「絶対に」乗りたくないと答えた。そして約85%が、自動運転の普及により配車サービスやライドシェア、配送ドライバーの雇用が失われるだろうと回答している。
興味深いのは、46%以上が自動運転は「所得格差を拡大させる」と回答したという点だ。なお「所得格差を縮小させる」と答えたのは約6%にとどまった。UCSD社会科学部都市研究・都市計画学科でAssistant Professorを務め、この研究を主導したBehram Wali氏は、「自動運転車はしばしば工学的な課題として捉えられるが、実際には社会と技術が深く関わる大きな移行でもある」と語っている。
また、この研究結果は米国人が自動運転車を受け入れる意思が、雇用喪失や所得格差への恐れとどのように直接結びついているかという重要な緊張関係を明らかにしているとした上で、「多くの米国人が自動運転車を単に技術が機能するかどうかという問題としてではなく、誰が利益を得て、誰がコストを負担するのかという、より広い社会的・経済的変化として評価していることを示している」と分析した。
米国の自動運転社会が、安全面への懸念から一段階進んだ問題に直面していることが分かる。
■所得により自動運転の受容度が変わる
今回の調査では、どんな層が自動運転車に好意的なのかについても明らかになっている。自動運転車についての認知度が高い人やインターネットをよく利用する人、教育水準の高い人や高所得な人ほど、自動運転車に乗ることに前向きな傾向があることが分かった。しかし、自動運転技術が所得格差を悪化させたり、雇用を減少させたりする可能性があるとも考えているようだ。
それに対し、低所得者のほか農村部や地方に住む人々は、自動運転車の導入にそれほど積極的ではなく、経済面での悪影響に強い懸念を示しているようだ。
これまで自動運転の社会受容性についての調査は何度も行われてきたが、所得により自動運転車に対しての好感度に差があるということはあまり表に出てきていなかった。また今回の調査は、自動運転の拡大が社会の分断をあおる可能性も指摘している。
自動運転車の導入が進み移動が便利になる反面、自動運転社会では新たな社会的な問題が発生しつつあるということが浮き彫りになった。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・社会受容性のレポート一覧」も参照。












