テスラぐずぐず!ロボタクシーでGoogleとの差「ますます拡大」へ

6年以上の遅れ、挽回なるか

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テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

米EV(電気自動車)大手テスラの自動運転タクシー(ロボタクシー)が2025年6月、限定的に運行をスタートした。しかし運用拡大は2026年末になる見込みで、先行組のGoogleとの差がますます開きそうだ。

テスラは現状、セーフティドライバーが同乗しての自動運転のテスト走行をテキサス州オースティンで行っている。それに対しGoogle系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)は、ドライバーレスでの有料ロボタクシーサービスを全米各地で展開しており、技術的な面ではテスラは相当遅れを取っているように見える。

しかしテスラの自動運転車の製造費はWaymoの約2割という低コストとなっており、この強みを生かして高い資金効率で事業を拡大していけば、いずれはWaymoのシェアを奪い取る可能性もある。

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■テスラは小規模からサービスをスタート

出典:Tesla公式サイト

テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏は、数年前から「自動運転は近く実現する」といった発言を繰り返してきた。しかしなかなか実用化する様子はなく、やっと2025年6月22日に本社があるオースティンでロボタクシーサービスの試験運用を開始した。ただし周囲の予想を裏切り、テスラらしからぬ慎重さで運行を始めている。

車両はロボタクシー向けに開発した「Cybercab」ではなく、自動運転システムを搭載した新型「モデルY」で、最初は10台規模のフリートで運用していく。助手席にはセーフティドライバーが同乗する形でサービスを提供する。営業時間は午前6時から午前12時まで。

正確な運行エリアは不明で、オースティン市内全域ではなく一部エリアのようだ。乗客は、アーリーアクセス・ライダー・プログラムのメンバーに限られており、Teslaアカウントを持つ一部市民への招待制で徐々に拡大していく方法のようだ。運賃は距離にかかわらず一律4.2ドル(約620円)となっている。

■現在のマスク氏とトランプ氏の関係は?

出典:Flickr / Gage Skidmore (CC BY-SA 2.0) https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/29381357345//イーロン・マスク氏公式X(https://x.com/elonmusk/status/1855152953944162426/photo/1)

マスク氏は2025年7月に行った決算発表会で、ロボタクシーの運用エリアを拡大するために規制当局の認可を得るためには時間がかかるため、規模拡大は2026年末になると発言している。

かつて蜜月関係にあったトランプ大統領と仲違いしたマスク氏。テスラの事業も危うくなると見られていた。しかしトランプ大統領は7月24日、マスク氏の事業を破壊しようとしているとの見方を明確に否定した。

ソーシャルメディアに「私がイーロンの企業に対して、彼が米国政府から受けている大規模な補助金の一部、あるいは全てを取り上げて破壊しようとしていると、皆が言っている。しかしそれは事実ではない!」と投稿した。さらに「私はイーロン、そして我が国の全ての企業に、これまでになく『繁栄』してほしいと願っているのだ!」と激励もしている。

■世界をリードするWaymo

出典:Waymoプレスリリース

Waymoは2018年12月にアリゾナ州フェニックスで、世界で初めてロボタクシーサービスを商用化した。現在のテスラのサービス水準は、この6年以上のWaymoと同じようなレベルだ。

Waymoは現在、フェニックスのほかカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルス、テキサス州オースティンで無人運行サービスを提供している。テスラと同じオースティンでは、2024年10月にサービスを開始している。フェニックスだけでも東京23区(622平方キロ)を上回る約815平方キロをカバーしており、4エリア合計では1200平方キロに及ぶ。

このほか、シリコンバレーエリアやジョージア州アトランタ、2026年にフロリダ州マイアミとワシントン D.C.でもサービスを開始する計画を発表している。日本でも2025年4月から走行実証を行っており、そう遠くない時期での海外進出も期待されている。

複数エリアで推定1,000台超の無人車両をすでに運行しており、1週間あたり配車数20万回、160万キロメートルに及ぶサービスを提供している。名実ともに世界トップのサービス水準だと言えよう。

■コスト面ではテスラが優位か?

現状ではWaymoにだいぶ遅れを取っているテスラだが、コスト面では軍配が上がるようだ。マスク氏は、2025年4月に米メディアのインタビューでWaymoについて「テスラのロボタクシーサービスは、特に価格設定、ジオフェンシング(地理的制限)、規制面での柔軟性において、Waymoの提供とどのように比較されると予想しているか」といった質問を受けた。

それに対しマスク氏は、ロボタクシー1台あたりの投資額についてテスラが圧倒的に優位であると回答した。「Waymoの車の問題は、はるかに多くのお金がかかることだ」と答えている。

その理由として「Waymoの車は非常に高価で生産台数も少ない。テスラ車は、おそらくWaymo車のコストの20〜25%程度で済み、しかも大量生産されている」と、両社の製造コストを比較して回答している。

テスラのロボタクシーは、低コストと高レベルの技術力を両立できるのか。そして各州における規制当局の認可は早期に得られるのか。今後の取り組みに注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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