Googleの自動運転車、「ハイジャック男」が手動運転に失敗 ロス市警がひきずり下ろす

Waymo、「外部からの妨害」の対策を発表



Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)の自動運転タクシーが新年早々、盗まれそうになった。しかし犯人の男はクルマを動かすことができず、警察にひきずり下ろされて捕まった。ロボタクシーのハイジャックは失敗に終わった。

この事件を受けて、Waymoはドライバーレスの自動運転車が作動する方法について説明した。それによると、決して車両が盗まれることはないような仕組みになっているようだ。


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■盗難騒ぎはロサンゼルスで発生

2025年1月2日の夜、米カリフォルニア州ロサンゼルスの中心部で男がWaymo車両に乗り込み、クルマを盗んで走り去ろうとした。しかし手動運転モードにしようとしたが動かすことができず、運転席に座ったままの状態であったという。

この男は最終的には、駆けつけた警察官に車両から引きずり出された。男はどうやら酒に酔っていたとみられる。自動運転タクシー車両を呼んだ人物かどうかは明らかになっていない。

この事件について、Waymoは地元ニュースメディアに下記のように声明を寄せている。


「Waymoの車両は、権限のない人物が自動運転システムを解除して手動で運転することができないように設計されています。もし権限のない人物が運転席に座った場合、Waymoのライダーサポートチームはその人物に車両から降りるように指示し、ライドを終了させることができます。指示に従わない場合、ライダーサポートは緊急対応チームと連携し、法執行機関と協力して対応します」

■Waymoの車両妨害対策の内容

出典:Waymoプレスリリース

Waymoはロサンゼルスのほか、カリフォルニア州サンフランシスコやアリゾナ州フェニックスなどで完全無人の自動運転タクシーサービスを展開している。これまで500万件以上のライドを行ってきたが、クルマを運転する権限のない乗客や他の人物がクルマを乗っ取ろうとした事例はほんの数件に過ぎないという。

Waymoの自動運転車には、自己防衛機能が備えられている。回避行動をとったり、クラクションを鳴らしたり、外部の人々に911(警察・救急・消防への電話)が呼ばれていることを伝える音を発することができる。さらに車両外側のドアハンドルは走行中に折り畳まれるため、外部から人が車内に入ることができなくなっている。

このように強力な防御対策をしているにも関わらず、運転席に人が座るような状況になった場合についても想定している。Waymoのライダーサポートチームが即座に警告を受け付け、クルマからその人物に降りるよう要求することができるという。


■車外からの妨害対策も重要事項に

1月2日に起こった事件では、車両を乗っ取ろうとした男にサポートチームが降りるよう依頼したが、拒否されたという。そのためWaymoからロサンゼルス市警へ連絡したという流れのようだ。

夜間にドライバーレスの自動運転タクシーを利用することもあるかもしれない。そういった際、外部からの妨害を恐れる人もいるだろう。Waymoの説明で、安心して乗車できることが分かった。

しかし過去には、女性が1人でWaymoの自動運転タクシーに乗って移動していたところ、車外から男性に「窓越しにナンパ」されるといったトラブルが起きたこともあった。その際もWaymoのサポートは問題を解決してくれたようだ。

「運転手」といういわゆる車両の管理者がいないドライバーレスの自動運転車。交通トラブル発生時のほか、悪質ないたずらや乗っ取りに向けての対策強化も必須となる。米国のほか中国の自動運転タクシー開発企業の妨害対策がどうなっているかも気になるところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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