テスラの自動運転「カメラだけじゃ無理」!Amazon系幹部、マスク氏を挑発

マルチセンサーの必要性に言及

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出典:イーロン・マスク氏公式Xアカウント(https://x.com/elonmusk/status/1855152953944162426/photo/1)

Amazon傘下の自動運転開発企業Zoox(ズークス)のトップが、EV(電気自動車)大手テスラの自動運転技術に懐疑的な姿勢を示している。Zooxは米国で自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスをスタートすることを発表したばかりだ。その場において、テスラについて言及したという。

Zooxの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)であるジェシー・レビンソン氏が、テスラの自動運転技術に対するアプローチと、それがうまくいかない理由について語っている。

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■Zoox幹部が考える「うまくいかない理由」

Zooxの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)であるジェシー・レビンソン氏=出典:Zoox公式サイト

ZooxのレビンソンCTOは自社の自動運転戦略について、LiDARやレーダー、カメラなどを活用したマルチセンサーの安全設計により、完全な状況認識を行うことができると強調している。それが、カメラのみに頼っているテスラのシステム「FSD(Full Self-Driving)」よりも優位性をもたらすと考えているようだ。

FSDは有能ではあるものの、カメラのみに依存することでドライバーに「誤った自己満足感」を与える可能性があるとも指摘している。この水準の技術では、真のドライバーレスの自動運転走行を行うには不十分だと考えているようだ。

レビンソンCTOは、「人間と同じくらい安全なロボタクシーではなく、人間よりも特に安全なロボタクシーを構築するには、実際にはテスラが車両に搭載しているよりもはるかに多くのハードウェアが必要であるというのが私たちの見解だ」とコメントしている。テスラを率いるイーロン・マスク氏を挑発する発言とも言えそうだ。

■テスラより先にサービス開始予定のZoox

テスラのFull Self-Drivingは直訳すると「完全自動運転」になるものの、現状は自動運転レベル2のADAS(先進運転支援システム)にとどまる。しかしテスラは2024年10月にロボタクシー計画を発表している。ハンドルもペダルもない自動運転車両「サイバーキャブ」を用いて2025年中にサービスを開始予定だ。

Zooxはテスラより先にロボタクシーを始動させようとしている。今後数週間以内にロボタクシー専用車両の配備が整い、年明けにはラスベガスなどでサービスを展開予定だ。この車両は4人乗りで、ハンドルなどの手動制御装置を備えないオリジナルの自動運転専用モデルになる。最初は少ない車両数で運行するが、今後エリアや車両の数は拡大予定としている。そして、2026 年には大規模な量産車の生産がスタートするという計画になっている。

このロボタクシーは、最初は「Zooxエクスプローラー」として招待された選ばれた顧客のみが利用できる。日中など最も忙しい時間帯も含め、1日16時間運行するようだ。

■両社ともに専用車両を開発中

世界で初めてロボタクシーを実用化したのは、Google系の自動運転開発Waymoだ。2018年にアリゾナ州フェニックスで一部ユーザーを対象にサービスを開始した。その後、GM傘下のCruiseもロボタクシーを商用化しているが、重大な事故を起こしたことなどにより現在は運行を休止している。

Waymoが市販車に自社開発の自動運転システムを搭載するというアプローチを取っているのに対し、Zooxは完全オリジナルの専用車だ。またテスラのサイバーキャブも自動運転専用車となっている。

Zooxが米国のロボタクシー競争において、どれだけWaymoに食い込めるのかに注目だ。また技術水準について指摘されたテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は何を思っているのだろうか。過去には、テスラを解雇された優秀な人材が続々とZooxに採用されているという報道もあった。両社の関係にも注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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