トヨタシティ、工事に遅れ?完成時期「夏」→「年内」に表現変わる

Woven Cityフェーズ1、建物工事進む



出典:トヨタプレスリリース

トヨタが静岡県裾野市に建設中の実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」。この一大プロジェクトの工事が遅れている可能性が出てきた。

Woven City公式Facebookなどでは、当初、実験を始めるエリア「フェーズ1」の建物工事については「2024年夏に完了」とされていたが、最近は「2024年内に完了」との予定に変わっている。ちなみにいまは8月のお盆シーズン。すで夏のまっただ中だ。


Facebbokの投稿担当者が最近は、単に「夏」のことも含めて「年内」と書いている可能性もあるが、街のさらなる高度化、例えば道路インフラとの協調技術などを建物にも搭載させるといったグレードアップの計画を盛り込むといったことにより、フェーズ1の建物工事の完了時期を後倒しした可能性もありそうだ。

■公式Facebookで情報発信

Woven Cityは、静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地を活用して建設が進められている実証都市だ。豊田章男前社長が、2020年1月にこのプロジェクトを発表し、2021年2月に着工した。

公式Facebookでは、工事の様子がたびたび紹介されている。2023年12月31日の投稿では「2024年夏にPhase1の建設工事は完了」となっている。また2024年1月4日にも同様に「今夏にPhase1の建設完成を予定」としていた。


しかし2024年2月23日には、「Phase1は、2024年内には建築工事を終え」に表現が変化した。その後も、3月6日「2024年内には最初に実証実験を始めるエリア、Phase1の工事が完了予定」、3月13日「2024年にPhase1の建物完成を迎え」、6月26日「Phase1の工事が年内には完了予定」となっている。2024年夏から2024年内の工事完了に変わっている。完成日に言及している最新の投稿である7月24日も「Phase1の建物の工事が年内には完了予定」と書かれている。

また細かいことではあるが、1月4日までの「2025年の実証開始」という表現は、2月23日以降7月に至るまで「2025年には一部実証実験がスタート」といった表現に変化している。

元々のスケジュールであれば、そろそろフェーズ1の建物の完成報告があってもいい頃だ。

■実際に人が住む街で先進技術を実証していく

Woven Cityは、東京ドーム約15個分の広大なエリアに人が住み、モビリティのためのテストコースとして活用する予定で建設が進んでいる。この地で行われるのは、トヨタが掲げる「幸せの量産」を目指したさまざまな実証実験だ。自動運転に関しては、「自動運転技術を鍛える」「自動運転を使ったサービスの価値検証」を目的に、自動運転機能をさまざまな発明者が使い、試すことでユースケースを拡大していくという。


この街にはトヨタやトヨタ関係者から段階的に入居し、最終的には約360人が居住する計画だ。将来的には、約2,000人が住むことを目指しているようだ。

公式Facebookの2024年7月24日の投稿では、地下への入口と地下構内の画像が公開された。建物内部のお披露目は今回が初ではないだろうか。画像では、完成予想図通りの近未来的なビルの横から地下への入口が少しだけ見える。また地下構内は地下駐車場のような造りだが、その先に地下道があるようにも見てとれる。

さらに公式YouTubeでは、Woven Cityの建設工事に携わる人の声やメイキングの様子が頻繁に紹介されている。多くの人が携わり、期待を込めている巨大プロジェクトだということがよく分かる。

■デジタルツインも取り入れて実証予定

公式Facebookの最新の投稿では、開発・実証を加速させるための技術の1つである「デジタルツイン」について紹介している。Woven Cityでは、現実世界で実証ができるだけでなく、街の中でサービスやハードウェアを動かす前に、デジタル空間でシミュレーションをすることが可能になるという。

工期が遅れているのか実際のところは不明だが、いずれにしても現在の予定では年内にはフェーズ1の建物が完成する。全景はどんな様子になっているのか、トヨタがどの程度まで公開するのか、気になるところだ。また来年から始める実証実験の内容にも期待が高まる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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