空飛ぶクルマによる関西圏初の無操縦者航空機での有人飛行実証が行われた。この実証は、人材大手の株式会社パソナグループ(本社:東京都千代田区/代表取締役グループ代表:南部靖之)が兵庫県淡路市、一般社団法人MASCと連携し、2024年3月10日に実施した。
無操縦者航空機での有人飛行実証とは、操縦者が搭乗せず、各種検証のために検査員が乗り込み、遠隔操作で飛行する実証のことを指す。検査員は搭乗しているものの操縦はしないため、自動運転による飛行と言い換えても良さそうだ。
■パソナが拠点とする淡路島で自動飛行
今回の実証では、中国の空飛ぶクルマ開発大手EHang(イーハン)製のeVTOL(電動垂直離着陸機)「EH216」が用いられた。屋外スペースにおいて、パイロットが搭乗せずに検査員のみの搭乗で遠隔操作で空飛ぶクルマを飛行させるのは、関西圏で初のことであった。空飛ぶクルマの飛行かつ自動飛行という2つの実証を同時に成立させたことになる。
この取り組みは、飛行の安全性の技術的検証を行い、淡路市内での社会的受容性の向上にも寄与することを目的としている。今後は淡路市における新産業の創出や未来の観光インフラ、災害現場での実用化を目指す。
パソナグループは、淡路島で人材誘致による独自の地域活性事業に取り組んでいる。2021年6月からは本社機能の一部を淡路島に移転しており、これまで多くの社員が同島に移り住んでいる。今回の実証を通じて、公民が連携した淡路島の観光振興による関係人口の増加に寄与するとともに、新たなモビリティ社会の創造を見据えているという。
■つくば市では関東圏初の空飛ぶクルマ実証を実施
「大阪・関西万博」の開催が来年に迫っている現在、空飛ぶクルマ関連の取り組みが加速している。
エアモビリティ関連事業を展開する株式会社AirX(本社:東京都千代田区/代表取締役:手塚究)は、つくば航空と連携し、茨城県つくば市に「つくば空飛ぶクルマ テストフィールド」を開設したことを2024年3月11日に発表した。
このテストフィールドは、空飛ぶクルマのデモフライトや地上インフラ、技術実証、整備拠点として活用される。今後、空飛ぶクルマの離着陸場となる「バーティポート」を整備する計画もあるようだ。
開設を記念して、空飛ぶクルマの実証フライトイベントを3月20〜21日に実施する。用いられる機体はEHangの「EH216-S」だ。AirXによると、空飛ぶクルマが関東圏の空を飛ぶのは同実証が初めてだという。
【参考】関連記事としては「バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場」も参照。
バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場 https://t.co/swle02Hutv @jidountenlab #バーティポート #空飛ぶクルマ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 7, 2022
■2025年に向け開発スピードがアップ
AirXはまた、千葉県船橋市と「災害時における緊急輸送等に関する協定」を締結し、2024年3月11日に市長同席のもと締結式を行った。
船橋市で災害が発生、もしくは発生するおそれがある場合や他の市町村の区域で災害が発生した場合に、ヘリコプターを活用した救援物資や資機材等の搬送による支援活動を協力するという内容だ。具体的には、AirXが運営する船橋ヘリポートからヘリコプターで、食料や医薬品などの災害救援物資輸送を支援するという。
エアモビリティ関連企業のほか、パソナのような他業種からの参入も増えてきた空飛ぶクルマ開発。2025年の万博開催に向け、ますます技術革新が進みそうだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?(2024年最新版) 開発企業・実用化状況まとめ」も参照。