ソフトバンクグループ(SBG)は2024年2月8日午後、2024年3月期第3四半期の連結決算を発表した。ビジョンファンド事業の投資損益は6,007億円となり、前年同期の7,300億円の赤字から大きく改善した。
最近の株式相場の回復傾向がSBGの投資損益の改善を後押しした格好だが、特に注目したいのが「自動倉庫」関連投資の成績だ。ビジョンファンド2(SVF2)で投資しているAutoStore Holdings Ltd.とSymbotic Inc.の価値がそれぞれ第2四半期と比べて大幅に上昇した。
AutoStoreは自動倉庫システムを提供するノルウェー企業で、SBGの投資額は28億ドル。第2四半期時点の公正価値は19億ドルだったが、第3四半期時点では26億ドルまで上昇している。
Symboticはロボット倉庫事業を展開するアメリカ企業。SBGはSymboticに2億ドルを投資しており、第2四半期時点の公正価値は7億ドルだったが、第3四半期には10億ドルまで価値が上昇している。
■第2四半期と第3四半期の投資成績
第2四半期と第3四半期のソフトバンクビジョンファンドの投資成績は、それぞれ以下のリンクから確認することが可能だ。
▼2024年3⽉期 第2四半期 決算データシート
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2023/earnings-datasheet_q2fy2023_01.pdf
▼2024年3⽉期 第3四半期 決算データシート
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2023/earnings-datasheet_q3fy2023_01.pdf
このうちAutoStoreとSymboticに投資しているSVF2のエグジット前の投資成績は、第2四半期と第3四半期がそれぞれ以下のようになっている。(上が第2四半期、下が第3四半期、赤色の網掛けはそれぞれAutoStoreとSymbotic)
■Armにばかり関心が集まっているが
ソフトバンクグループの今回の決算に関しては、半導体企業のArmがナスダック市場に上場し、その後の株価上昇が顕著なことや、Tモバイル株1.1兆円相当を無償で取得したことに関心が集まっている。
しかし、AI(人工知能)技術を活用している自動倉庫事業が好調なことも、確実に注目すべき点と言える。
【参考】関連記事としては「ソフトバンクGの交通投資、累計損失2兆円規模 「大化け投資先」誕生に期待」も参照。