自動運転OSの開発を手掛ける日本のティアフォーが開発する自動運転バス「Minibus(ミニバス)」の販売がスタート。販売を手掛けるアイサンテクノロジーも、製品ホームページをこのほど公開した。
世界的に自動運転バスは欧州勢が強い中、Made in Japanの自動運転バスとして注目を集める。気になる価格はいくらなのだろうか。公開されている資料から、スペックや料金を探った。
▼自動運転バス「Minibus」|アイサンテクノロジー
https://aisan-mobility.com/lineup/adv/
▼MINIBUS SPECIFICATION V1.0|TIER Ⅳ
https://static1.squarespace.com/static/64665a28674c1064a6e795cf/t/654a8631b6b8997f4f5aa7da/1699382853973/Minibus_Specification_Sheet_ver_1.pdf
■レベル4自動運転を想定した車両
ティアフォーのMinibusは、「ファンファーレ」のラインアップの1つだ。ファンファーレとは、自動運転機能に対応したEV(電気自動車)の生産を加速させる新たなソリューション群で、2023年6月に提供を開始している。
【参考】関連記事としては「ティアフォーの自動運転/Autoware戦略」も参照。
Minibusには、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」が搭載されており、自動運転レベル4(高度運転自動化)の認可に必要なハードウェアが備わっている。レベル4での自動走行を想定して開発した車両であるが、自動運転レベル2(条件付き運転自動化)として利用することもできる。
性能面を紹介しよう。装備されたLiDARやカメラ、レーダーのセンシングデバイスと、GNSS(衛星測位システム)やIMU(慣性計測装置)により自己位置推定を行い、自動運転を実現している。最高時速35キロで走行するが、手動運転時は時速70キロで走行可能だ。
乗車定員は25人で、航続距離150キロ。充電時間は約2時間だ。Minibusの走行可能環境としては、晴れや曇り、15ミリ以下という条件がある。右左折や車線変更、障害物の回避はできるが、白線や標識の認識は行わない。
■公式サイトやカタログに価格情報はある?
それでは、Minibusはどんな価格帯になっているのだろうか。公式サイトやカタログ情報を見た限り、アイサンテクノロジーもティアフォーも、Minibusの価格は一般公開していないようだ(問い合わせフォームから、見積もりは依頼できる)。
価格については、しばらく秘密にする意図なのだろうか。ただし、搭載させる性能やカスタマイズ具合によって価格が大きく変わるため、標準価格的な情報を出していないだけなのかもしれない。
一方、報道によれば、販売価格はバス1台で5,000万円を見込んでいるという。また、サブスクでの利用の場合は1台月額50万円程度を想定しているようだ。
■自動運転車や関連サービスの価格情報に注目
参考までに、デジタル庁が過去に公開した、デジタル実装の優良事例となるサービス・システムをまとめたカタログでは、「自動運転バス乗車予約サービス」の参考価格が約3,208万円、「自動運転バス運行管理」の参考価格が約6,530万円とされている。
【参考】関連記事としては「デジタル庁、自動運転サービスなどカタログ化!運行管理は年6,000万円が相場?」も参照。
現在は、自動運転車両を完成させるだけで注目を集めるフェーズと言えるが、いずれは導入メリットに見合った価格かどうか、といった点に関心が集まるようになる。自動運転車や関連サービスの価格情報が出てきたら、積極的に取り上げていきたい。
【参考】関連記事としては「ついに「国産自動運転バス」が全国展開!アイサン、ティアフォー製を各地で」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)