英国で自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の市販車による公道走行が実現するのは、早くても2026年末になりそうだ。英運輸長官が見通しを示した。イギリスでは現在、自動運転車に関する法整備を進めている最中だ。
自動運転レベル3の市販車は、日本で2021年3月にホンダが新型LEGENDに機能を搭載し、世界で初めて実現した。その後、ドイツやアメリカも追随する流れとなっており、イギリスはこうした国からかなり出遅れる格好となる。
■英国の運輸大臣がラジオ番組で言及
マーク・ハーパー運輸大臣は英国のラジオ番組に出演し、「人間がハンドルから手を離し、メールをしながら移動できるようになるか?」といった質問に対し、「2026年にそういった自動運転車が英国の道路で一般的な光景になる可能性がある」と回答した。
現在イギリス政府は、自動運転車の法的責任をドライバーから自動車メーカーに移行させることなどを目的に、法整備を進めている。2023年11月には、自動運転車の安全に関する法案が議会に提出されている。
同大臣は、自動運転車が人々の生活を改善する可能性があることに言及している。特に、身体に障害があったり学習障害を持っていたりという人にとって、他人に頼る必要がなく移動可能になるなど、自動運転車は新しい世界を切り開くことができるようになるという。
ただし冒頭触れた通り、実用化に向けた国の動きは日本やドイツ、アメリカに比べてスローペースであることは否めない。
■レベル4でもアメリカや中国に出遅れ
ちなみに、個人の移動に利用される市販車と、公共交通として機能する無人タクシーを、同一視にすることはできないが、アメリカや中国ではタクシーの自動運転レベル4も実現されている状況だ。
中東のUAEやサウジアラビアでも、レベル4の自動運転車による実証などが行われ、実用化に移行する段階にあり、イギリス政府はレベル4の無人タクシーでも他国に遅れを取っている。
ちなみに日本でも、福井県永平寺町で2023年5月に自動運転レベル4での運行が開始されたが、「誘導型」で「決められたルートを走行する」という内容であるため、純粋なレベル4とは言えない状況だ。
引き続き、欧州におけるイギリスの動向に注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転、法律がなきゃ保険会社困る!AXA、英政府に整備要求」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)