海外旅行やインバウンド需要が高まる中、国際線が離発着する羽田空港第3ターミナルで、車いす型の1人乗りモビリティを利用した自動運転移動サービスが始まった。
近距離モビリティサービスを提供するWHILL株式会社(本社:東京都品川区/代表取締役社長CEO:杉江理)は、羽田空港第3ターミナルの出国エリアにおいて「WHILL自動運転サービス」が導入されたことを発表した。
すでに国内線の第1・第2ターミナルで導入実績があり、今回の第3ターミナルでの導入により、WHILLの自動運転移動サービスが羽田空港の全ターミナル制覇を果たしたことになる。
■WHILL自動運転サービスとは?
WHILL自動運転サービスは、デザイン性と走破性に優れたパーソナルモビリティに自動運転・自動停止機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」を活用し、広い施設内の特定の目的地まで自動走行で移動できるサービスだ。
空港における1人乗りの自動運転パーソナルモビリティとして、2020年夏に世界で初めて羽田空港で導入された。以降、安定した運用の実績を積み重ねて第1・第2ターミナル国内線全域にサービスを拡張。そして今回第3ターミナルでも導入された。
なお、羽田空港は世界500の空港を対象とした国際空港評価で、高齢者や障害者にも配慮した施設を評価する「World’s Best PRM / Accessible Facilities」において5年連続で世界第1位を受賞している。
■6言語対応、降車後は自動で元の場所に
自動運転パーソナルモビリティは6台導入され、第3ターミナル出国エリアに2カ所、各3台ずつ設置された。現時点では、12~18時に運用されており、出国エリア内WHILLステーションから特定の搭乗口まで、あらかじめ収集した地図情報とセンサーで検知した周囲の状況を照合しながら自動走行する。降車後は、無人運転により元の場所まで自動で返却可能だ。
利用の際は、利用者自身がタッチパネルで操作する。なお第3ターミナルでは、既存の日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語に新たにスペイン語を追加した6言語を搭載したという。
同サービスを活用すると、体の不自由な人やシニア世代、長距離の歩行や体力に不安を感じる人なども、広い空港内を快適に移動できることになる。空港スタッフによる車いすプッシュサービスもあるが、高齢化の加速や旅行需要の回復などを背景に将来的な人手不足が予想される。
WHILLは、人的労力をWHILL自動運転サービスに置き換えることで安定した移動サービスを提供し、スタッフの負担軽減だけでなく利用客の満足度向上にも貢献するとしている。
■すべての人が快適に近距離移動できる未来へ
WHILL自動運転サービスは、関西国際空港の新国際線商業エリアでも2023年12月から導入された。現在、羽田空港や関西国際空港のほか、成田国際空港、カナダのウィニペグ空港でも導入済みで、日本国内の病院でも活用が進んでいる。
WHILLによる、あらゆる人が安心して快適な近距離移動ができるユニバーサルなサービスが、今後ますます広がりそうだ。
【参考】関連記事として「関空の自動運転車椅子、1年で利用1万回超え!WHILLが展開」も参照。