自動運転バス導入「6,500万〜1億円」 デジタル庁、費用例を記載

車両費用とその他初期費用を合わせ



河野太郎デジタル大臣=出典:デジタル庁

デジタル庁のモビリティワーキンググループがこのほど公表した資料において、自動運転バスの導入に係る費用の一例が紹介されている。車両費用は1台あたり最大8,000万円、その他初期費用が1カ所あたり最大2,000万円かかり、約6,500万円〜1億円程度が必要になるという費用感だ。

資料は「自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた論点」。海外製車両を導入している自動運転サービス事業者へのヒアリング結果として紹介されている。







▼自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた論点
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2b3315d1-5865-4712-99dd-84c54a396f9b/fdaf1653/20231211_meeting_mobility-working-group_outline_02.pdf

出典:デジタル庁
■モビリティワーキンググループとは

デジタル庁は、自動運転やドローン、サービスロボットなど地域のモビリティを支える技術の同時かつ一体的な事業化に向けた「モビリティ・ロードマップ2024(仮称)」の策定を推進するため、モビリティワーキンググループ(モビリティWG)を立ち上げ、2023年12月5日に第1回目が開催された。同WGの構成員には、官学民の各分野から有識者が集まっている。

第1回WGでは、「自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた論点」として、自動運転車両の導入費用低減について議論されたようだ。この論点に関する資料が、冒頭紹介したPDFファイルだ。

自動運転の普及に向けては、車両の導入費用を課題の1つにしている。オペレーティングリースやレンタルによる導入費用低減が望まれるが、地域ごとのカスタマイズによる車両の汎用性の低さや自動運転導入事例の少なさなどにより、実現していないのが現状だという。

出典:デジタル庁
■自動運転バス1台の具体的な導入費用は?

海外製車両を導入している自動運転サービス事業者へのヒアリング結果として、自動運転バスの導入に係る費用の一例が紹介されている。車両1台あたりの費用は、約5,500万〜8,000万円となっている。これには、車両本体に加え一部改造費用も含まれている。

また、3Dマップや走行ルート作成などの初期費用として、1カ所あたり約1,000万〜2,000万円が必要になるという。これは走行ルート距離により変動する。さらに遠隔監視に関するハード面・ソフト面での費用や、充電設備設置費用などが別途発生するようだ。

つまり、自動運転バス1台を導入しようとする場合、約6,500万円〜1億円の費用が必要になるということだ。

■リースに関するヒアリング結果は?

自動運転車両のリースに関して、リース会社からのヒアリング結果の一部も紹介されている。

「自動運転サービスの事業性が見通せず、信用リスクが存在」、「地域ごとに車両のカスタマイズがされており、汎用性が低い(再利用時に多額のコストが発生する懸念)」、「中古車両の利用者が確保できるか未知数(中古市場が存在しない)」といった回答があり、自動運転車両のリース事業に関しては消極的になっているようだ。

■走行環境の整備に向けての取り組み

今回のモビリティWGでは、走行環境の整備についても、検討の方向性が議論された。

レベル4の自動運転サービス普及に向けては、一般車や歩行者、自転車が混在する一般道での安全かつ円滑な走行の実現が求められる。現在、車載センサーのみでは把握が困難な交差点などにおける実証実験や、ハード・ソフト面での整備方針等について検討が進められている状況にある。

取り組みの例として、国土交通省による、自動運転実証調査事業と連携した路車協調システム実証実験が紹介されている。交差点などにおける道路状況を検知し、自動運転車や遠隔監視室へ情報提供する路車協調システムについて、地方公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転事業関係)と連携した取り組みを行っているという。

出典:デジタル庁
出典:デジタル庁

また経済産業省とデジタル庁、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が行う「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」では、モビリティ・ハブとスマートたこ足の整備方針を示している。既存施設をベースにモビリティ・ハブとし、自動運転バスや自動運転トラック、ドローンなどモビリティに関係する機能を追加する。

また、カメラや各種センサーなどの環境情報を取得・処理する機器について、配置や工事に関する工数の重複を避けるための共通的な機能が集約可能な基盤や規格を、スマートたこ足として整備し活用する方針だ。

出典:デジタル庁
■実用化で経済効果が出ている自治体も

茨城県境町では、2020年11月から自動運転バスによる定常運行を開始している。2020年度から5年間の運行コストとして、予算5.2億円を見込んでいる。移動を促進するため運賃は無料にしている。

運行を手掛けるBOLDLYによると、同町での自動運転バス実用化による経済効果は、27.96億円にもなるという。内訳は、広告宣伝効果13.1億円、観光視察効果0.16億円、町民消費効果0.20億円、政府補助金効果13.71億円、ふるさと納税による寄付効果0.79億円となっている。

このように補助金などをうまく活用し、実用化が成功している例もある。導入に関する予算面をクリアし、自動運転実用化に取り組む自治体が今後増えていくか注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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