韓国最大手の自動車メーカーである現代自動車(ヒョンデ)はこのほど、米国で自動運転タクシー(ロボタクシー)の商用サービスを2024年から展開することを発表した。
ヒョンデと米Motionalが共同開発したEV(電気自動車)「Motional IONIQ 5 Robotaxi」が使用され、ヒョンデが新たに設立したシンガポール拠点で量産モデルの生産が開始されるという。なおMotionalは、ヒョンデと自動車部品大手の米Aptivの合弁で、自動運転開発企業として2020年3月に設立された。
■自動運転タクシー「IONIQ 5 Robotaxi」とは
IONIQ 5 Robotaxiは、ヒョンデが2021年に発表したEV専用車「IONIQ 5」をベースとした自動運転タクシーだ。これは、ヒョンデグループとMotionalにとって、米国の連邦自動車安全基準(FMVSS)から認定された最初のレベル4自動運転車の1つになるという。
これまでヒョンデグループとMotionalは数年にわたり、米国とシンガポールで1年以上にわたってテストされた限定プロトタイプ車両の開発など、同車両の生産に向け準備を進めてきた。
最近、IONIQ 5 Robotaxiの初期車両が自動運転技術の品質や性能、成熟度を実証することを目的とした一連の評価を完了し、商業生産というステップに進むことになった。なお同車両の最初のモデルはすでに米国のMotionalの施設に到着し、2024年の商業サービス開始に向け、同社で厳格なテストと安全性検証プロセスを行っている状況のようだ。
Motionalの社長兼CEO(最高経営責任者)であるKarl Iagnemma氏は、「今回のFMVSSによる認証取得は、IONIQ 5 Robotaxiの極めて徹底した開発・試験プログラムや、安全性と信頼性、自動運転技術が高度であることを証明している」と自信を見せている。
■シンガポールの開発・製造拠点を開設
ヒョンデグループは、シンガポールに「Hyundai Motor Group Innovation Center Singapore (HMGICS)」を開設したことも発表している。
HMGICSは、同グループ初のグローバル・イノベーション・ハブで、先進的で多様な形態の未来型モビリティ・ソリューションを開発・生産する拠点になる。また、自動運転車の開発をサポートするため、テスト設備やキャリブレーションセンターなどの高度な機能も備えているという。
IONIQ 5 Robotaxiの開発から生産までをHMGICSで行うため、Motionalは開発チームをHMGICSに派遣した。自動運転車統合センターにて、同車両がサービス開始に耐えうる厳しい基準を満たし、配備の準備が整っているかを確認するために、ソフトウェア開発や検証などを行っていくようだ。
■Waymo、Cruiseに続く存在に?
米国では、Google系WaymoとGM傘下Cruiseの自動運転タクシーサービスがすでに商用化されている。しかし、Cruiseは相次ぐ運行トラブルにより、米国内で有料展開していた全車両の運行を現在全て停止している。
この状況の中、IONIQ 5 Robotaxiが分け入ることができるのか。2024年の商用化に期待したい。
【参考】関連記事としては「2023年が韓国の「自動運転元年」に!無人系車両、続々ローンチ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)