東陽テクニカが販売する非接触式視線計測システム「Smart Eye Pro DX システム」に注目が集まりそうだ。運転手の頭部の自然な動きや視線などを計測でき、例えば一部条件付きの自動運転である「レベル3」などにおいて、AI(人工知能)が運転手の状態を常時把握するためにも使えるはずだ。
ちなみにこのSmart Eye Pro DX システムは、竹中工務店グループの竹中土木が開発した「透過表示コックピットシステム」に採用されたという。Smart Eye Pro DXシステムは、スウェーデンのSmart Eyeが製造し、東陽テクニカが2019年2月から販売している。
■非接触式で視線などを計測
Smart Eye Pro DXシステムは、小型・軽量・高解像度カメラで撮影した映像をリアルタイムに画像処理することで、運転者の頭部位置や角度、視線角度、瞼開度、瞳孔径などを数値化することを可能にする。カメラは振動と外部光の影響を受けにくい仕様のため、設置の自由度が向上しており、実車走行時など明るさの変化が大きい環境下でも安定した計測を実現する。
システムが映像の明るさを判断し、自動で露光時間を調整する新機能を搭載している。1つのシステムにカメラを最大8台まで接続し、視線計測範囲を最大270度まで拡張することができる。
運転者に対して非接触での計測が可能であり、頭部の自然な動きや視線などを計測できる。そのため自動運転やADAS(先進運転支援システム)、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)の研究開発においても、システムの開発・改良の精度向上に貢献すると期待されている。
■視線位置に応じた映像を表示
竹中土木による透過表示コックピットシステムは、透過型LEDフィルムディスプレイの使用により、運転者が三次元の設計データを目視しながら簡単に重機の操縦ができ、側面ディスプレイにより重機のアームで隠れた部分も映像で視認できるシステムだという。
透過表示コックピットシステムがSmart Eye Pro DXシステムと連動することで、運転者の視線位置に応じた映像を表示することができ、視認の精度向上が可能になり、重機オペレーターのミスの低減、旋回時の安全性の向上につながる。
■自動運転やADAS開発でも役立つはず
自動運転やADAS開発においてSmart Eye Pro DXシステムを取り入れる場合、自動運転中にドライバーの様子を把握したり、居眠り防止のために検知を行ったりと、さまざまな活用方法があるはずだ。幅広い展開可能性に期待したい。
【参考】関連記事としては「東陽テクニカ、中国で大型受注!コネクテッドカー向けの無線通信性能計測システム」も参照。