自動運転、世界GDP総額を360兆円押し上げ 英調査を元に試算

世界で同時的に起きるモビリティ革命



自動運転の商用化は世界全体のGDP(国内総生産)を2.4兆ドル(約360兆円)拡大するポテンシャルを持っているかもしれない。英国で発表されたある調査結果を基に試算してみた結果だ。


その調査によると、英国では自動運転ビジネスにより同国のGDPが2040年までに2.58%拡大する可能性があるという。もしこの2.58%という拡大効果が同様に世界の各国で起きるとすると、世界全体のGDPも自動運転ビジネスにより2.58%拡大するということになる。

2021年の世界全体のGDPは約93兆ドルであり、「93兆ドル×2.58%」と計算すると、金額ベースで世界全体のGDPは2.39兆ドル(≒約2.4兆ドル)押し上げられることになるわけだ。

もちろん、国によって自動運転の商用化がGDPに与える影響は異なるのは当然だし、商用化の程度や時期によっても与えるインパクトは変わってくるが、大雑把に世界のGDP総額に与える影響を知っておくことは、自動運転のポテンシャルを再認識する上で無駄ではない。

◾︎英経済を660億ポンド(約12兆円)押し上げ
出典:SMMT公式サイト

英自動車工業会(SMMT)は2023年11月1日、自動運転車は2040年までに同国の経済を年間660億ポンド(約12兆円)押し上げる可能性があるという報告書を発表した。同国のGDPは2021年時点で約3.1兆ドル。計算すると、GDPを約2.58%アップさせるということになる。


SMMTの報告書「Connected and automated mobility」は、国際会計事務所KPMGによる研究をまとめたものだ。報告書では、自動運転車から物流車両、自動運転バス、タクシー、シャトルバス、トラクターに至るまで、さまざまな商用アプリケーションに「Connected and Automated Mobility(CAM)」(コネクテッド&自動運転モビリティ)テクノロジーが採用された場合、英国に広範な社会経済的利益をもたらすと主張されている。

SMMTは、同技術の普及を促進することは、次世代技術の世界的リーダーとしての英国の地位を確固たるものにすると述べている。また、2040年までに経済全体で約34万2,000人の雇用を創出し、そのうち1万2,250人が自動車製造業に従事することになると予測しているようだ。

そのほか、CAMテクノロジーの導入により2040年までに年間152億ポンドの収益が見込まれるという。なお初期段階で導入の可能性があるのは、鉱業と農業分野になると予想されている。

▼Connected and automated mobility|SMMT
https://www.smmt.co.uk/reports/connected-and-automated-mobility/


◾︎世界で同時的に起きる自動運転革命

英国では2015年以降、CAMテクノロジーのテストにすでに6億ポンド以上が官民により投資されている。

SMMTのCEO(最高経営責任者)であるMike Hawes氏は「完全に自動化された走行が実現するのはまだ先のことだが、コネクテッド・モビリティや自動運転技術の進歩は、英国の交通に革命をもたらす大きな機会となる」とコメントしている。

一方、自動運転の普及に取り組んでいるのはイギリスだけではない。米中や日本を含め、さまざまな国で自動運転革命が同時的に起きようとしている。そのため冒頭触れた通り、自動運転の商用化が世界のGDP総額に与える影響も確実に大きくなる。

世界経済をマクロ的に分析するとき、こうした自動運転ビジネスのポテンシャルを見過ごすことはすでにナンセンスな時代になっていることを、記事の最後に指摘しておきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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