自動運転レベル4、関東初認可は「決められたルート」型

ティアフォーとBOLDLYが認可取得

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出典:関東運輸局プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)

国土交通省は2023年10月24日までに、関東初のレベル4自動運転車の認可を行ったことを発表した。道路運送車両法に基づき、保安基準の適合性が確認されたため、走行環境条件の付与を行い、運転者を必要としないレベル4の自動運転車として認可したという。

認可したのは、神奈川県相模原市にある日本最大級の最先端物流拠点「GLP ALFALINK相模原」と、東京都大田区の大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」内を運行する自動運行装置の2つについてだ。詳しくは後述するが、「決められたルート」を走行する運行という点は知っておきたい。

GLP ALFALINK相模原では名古屋大学発スタートアップであるティアフォーが、羽田イノベーションシティではソフトバンク子会社のBOLDLYが運行主体となっている。

なお、日本で初めてレベル4での運行許可を取得したのは、福井県永平寺町運行する「ZEN drive Pilot」だ。2023年5月に許可を得ている。

■ティアフォー@GLP ALFALINK相模原の取り組み

ティアフォーによると、GLP ALFALINK相模原の敷地内通路は道路交通法が適用される道路で、歩行者と一般車両が混在する環境において、道路インフラなどに頼らず自動運行装置が自律的に認知・判断・操作を行うシステムに対するレベル4の認可は全国で初めてだという。

GLP ALFALINK相模原構内の全周約1.3キロの区間を、ティアフォーの自動運行装置を搭載したタジマ製小型バス「GSM8」が、最高時速約15キロで走行する。

認可された自動運行装置「AIパイロット」は、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」とそれに対応したセンサーシステムやコンピューターシステム、車載情報通信システムにより構成されており、さまざまな車両に搭載可能になっている。

ティアフォーは自動運転システムの開発を目指すパートナーへのソリューションとして、
今回のレベル4認可で得たプロセスや設計は全て公開し、自動運転の社会実装に貢献していくという。なお、同社はレベル4自動運転化ガイドラインも2023年6月に公開している。

出典:ティアフォープレスリリース
■BOLDLY@羽田イノベーションシティの取り組み

BOLDLYが羽田イノベーションシティで運行しているのは、仏Navya製の自動運転シャトル「ARMA」で、エリア内の全周約800メートルを最高時速約12キロで走行する。なおARMAは自動運転レベル4で走行することを前提に設計された車両で、ハンドルが無いのが特徴となっている。

■米国のレベル4タクシーと異なる点

自動運転レベル4は「高度運転自動化」を指し、一定条件下において自動運転システムが全ての運転操作を行う。ODD(運行設計領域)内で作動継続が困難となった際も、ドライバーなどが介入することなく自ら安全を確保することが求められる。

今回ティアフォーとBOLDLYは自動運転レベル4の認可を得たが、どちらも「あらかじめ決められたルート」を走行するものとなり、同じレベル4でも、米国で展開されているドライバーレスの自動運転タクシーとは運行内容が異なる点は知っておきたい。

米国では、Google系WaymoとGM傘下のCruiseが自動運転レベル4に相当するドライバーレスの自動運転タクシーサービスをアリゾナ州フェニックスやカリフォルニア州サンフランシスコなどで提供している。「走行エリア」は限定されているが、「走行ルート」が決められているわけではない。

今回認可された車両はいずれもシャトル型・バス型の車両であり、一方でWaymoやCruiseは乗用車型の車両で展開しているので、単純比較はしにくい面もあるが、日本国内でも一定エリア内で走行ルートが決められていない自動運転移動サービスの展開がいつになるのか、注目が集まっている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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