ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長CEO:吉村修一)の第7期(2023年3月現在)決算公告が発表されている。第7期の売上高は13億4,300万円、当期純損失は47億4,000万円であった。
営業損失は13億800万円、また「抱合せ株式消滅差損」として特別損失47億2,500億円を計上している。
なお同社は2023年2月に、ダイナミックマップ基盤から社名変更している。グループ企業を含め社名に「ダイナミックマッププラットフォーム」を冠することで、グローバルで統一されたブランドのもと、さらなる事業の拡大を目指すことを目的としているという。
■決算概要(2022年4月1日〜2023年3月31日)
賃借対照表の要旨(単位:百万円)
▼資産の部
流動資産 13,714
固定資産 5,489
資産合計 19,204
▼負債・純資産の部
流動負債 2,348
固定負債 6,066
株主資本 10,769
・資本金 6,450
・資本剰余金 28,907
・・資本準備金 28,907
・利益剰余金 △24,589
・・その他利益剰余金 △24,589
・・・繰越利益剰余金 △24,589
新株予約権 20
負債・純資産合計 19,204
損益計算書の要旨(単位:百万円)
売上高 1,343
売上原価 1,407
売上総損失 64
販売費及び一般管理費 1,244
営業損失 1,308
営業外収益 168
営業外費用 315
経常損失 1,455
特別損失 3,270
税引前当期純損失 4,725
法人税、住民税及び事業税 1
法人税等調整額 15
当期純損失 4,740
■オールジャパン体制で設立
ダイナミックマッププラットフォームは、自動運転やADAS(先進運転支援システム)のほか、多様な産業を対象とした高精度3次元データの提供を行っている企業だ。
同社は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のもとダイナミックマップの仕様などを検討してきた「ダイナミックマップ構築検討コンソーシアム」の6社と自動車メーカー9社により、高精度3次元地図の整備や実証、運営に向け2016年に企画会社として設立された。
設立メンバーには、三菱電機、ゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、ジオテクノロジーズ(旧インクリメント・ピー)、トヨタマップマスター、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、トヨタ自動車、日産自動車、日野自動車、本田技研、マツダ、三菱自動車が名を連ねる。2017年には、ダイハツと産業革新投資機構が加わり、計17社出資のもと事業会社化された。
2019年2月に高精度3次元道路地図を開発・提供する同業の米Ushr(アッシャー)の買収を発表した。これにより、日本と米国においてHDマップデータの仕様と効率的なデータ更新手法を共通化し、データ整備エリアの拡大をさらに進めていくとしている。
また自動車部品大手である仏Valeo(ヴァレオ)と、自動運転・ADAS技術の開発に関するパートナーシップに合意しことを2021年2月に発表した。
■大手自動車メーカーが続々と採用
2019年5月にダイナミックマッププラットフォームの高精度3次元地図データ(HDマップ)が、日産のADAS「ProPILOT 2.0」に採用されたことを発表した。
また2020年4月から、トヨタで自動運転ソフト開発を担うTRI-AD(現ウーブン・バイ・トヨタ)と高精度地図更新の実証実験を開始した。2021年3月には、ホンダが自家用車における世界初の自動運転レベル3搭載車として発売した新型「レジェンド」に、ダイナミックマッププラットフォームのHDマップが採用された。
最新のニュースでは、ホンダが使用する自動二輪車向けシミュレーションソフト「BikeSim」にダイナミックマッププラットフォームのHDマップが採用されたことを2023年8月に発表している。ダイナミックマッププラットフォームのHDマップが自動二輪車の開発に使用されるのは、これが初めてだという。
日本の自動運転開発の根底を支えていると言っても過言ではないダイナミックマッププラットフォーム。今後の取り組みと業績に、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「トヨタら共同出資のDMP、韓国の「高精度マップ市場」に参戦」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)