自動運転警備ロボのSEQSENSE、赤字増え4億円超 明治大学発ベンチャー

第6期決算、屋内配送向けロボにも注目



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

明治大学発ロボティクスベンチャーSEQSENSE株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役:中村壮一郎)の第6期決算公告(2022年9月現在)が、このほど官報に掲載された。

当期純損失は、前期の3億7,659万円から赤字額を17.8%増やし、4億4,381万円であった。


■決算概要(2022年9月30日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 773,149
固定資産 520,477
資産の部合計 1,293,626
▼負債及び純資産の部
流動負債 345,054
固定負債 486,750
株主資本 461,822
資本金 100,000
資本剰余金 2,103,040
資本準備金 2,103,040
利益剰余金 △1,741,217
その他利益剰余金 △1,741,217
(うち当期純損失)(443,814)
負債及び純資産の部合計 1,293,626

■明治大学発、2016年に設立
出典:SEQSENSE公式サイト

SEQSENSE(シークセンス)は、フィールドロボットの開発に長年携わっている明治大学理工学部の黒田洋司教授らが中心となり、2016年に設立された。深刻化する働き手不足の解決策として、自律移動型ロボットの開発・製造・サービス提供を行っている。

2017年4月に約2億円、2018年6月に総額約10億円、2023年8月に総額17.9億円の資金調達を実施している。これまでの累計調達額は29.9億円に上る。

現在は自律移動型警備ロボット「SQ-2」を中心にサービスを展開しており、日本全国で約40台のロボットが警備現場で実稼働しているという。SQ-2には、3D-LiDARや高解像度カメラ、360度カメラ、マイク・スピーカーが搭載されている。自動充電機能も備わっており、バッテリー残量が減少した際には自動的に帰還し充電・再始動することができる。


【参考】関連記事としては「LiDARとは?(2023年最新版)」も参照。

■屋内配送向けサービスロボの開発も
出典:SEQSENSEプレスリリース

2022年8月と12月に、SEQSENSEと川崎重工業が共同開発した屋内配送向けサービスロボット「FORRO(フォーロ)」を用いた実証実験を藤田医科大学病院で行った。これは2021年10月から開始した実証実験のフェーズ3となり、サービスロボットによる病院内作業と病院側システムとの連携検証、ロボットの荷室サイズや構造、使い勝手の検証を行ったという。

2023年7月からは、同大学病院でトライアルサービスを開始した。正式な導入に向けたトライアルとしての運用で、3台のFORROが24時間体制で検体配送や薬剤配送業務に従事するという試みだ。

■「ヒト型も、ネコ型も、目指さない。」

なおSEQSENSEの公式サイトではSQ-2について、「ヒト型も、ネコ型も、目指さない。」とある。文章を抜粋すると、「私たちが重視するのは、この国の人々が抱える課題に対して、着実に働き、着実に普及すること。ヒト型も、ネコ型も、そんなものは、ただの飾りにすぎない。驚かせなくていい。地味でいい。」と説明されている。


まっすぐ日本が抱える課題を直視してのロボット開発に、今後も期待したい。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「黎明期に導入2桁、大きな成果!SEQSENSEの自律移動警備ロボ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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