タクシー配車事業のDiDi日本法人、売上倍増20億円超!今期で黒字達成か

中国では自動運転車の量産計画も



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

タクシー配車アプリ事業を手掛けるDiDiモビリティジャパン株式会社(本社:東京都港区/代表取締役:和久山大輔)の第6期決算(2022年4月〜2023年3月)が、このほど官報に掲載された。

売上高は前期比203%増の20億1,100万円、当期純損失は前期の半分以下の8億4,300万円となった。今期での黒字達成も十分視野に入る業績となってきた。過去3期における売上高と当期純損失の推移は、以下の通りとなっている。


<売上高の推移>
・第4期:5億4,100万円
・第5期:9億8,900万円
・第6期:20億1,100万円

<純損益の推移>
・第4期:▲21億9,700万円
・第5期:▲19億8,000万円
・第6期:▲8億4,300万円
※▲はマイナス

■第6期決算概要(2022年4月1日〜2023年3月31日)
賃借対照表の要旨(単位:百万円)

資産の部
流動資産 1,843
固定資産 30
資産合計 1,873
======
負債・純資産の部
流動負債 973
(うち賞与引当金)(47)
(うち契約負債) (156)
株主資本 899
・資本金 100
・資本剰余金 1,643
・・その他資本剰余金 1,643
・利益剰余金 △843
・・その他利益剰余金 △843
負債・純資産合計 1,873

損益計算書の要旨(単位:百万円)

売上高 2,011
売上原価 1,381
売上総損失 629
販売費及び一般管理費 1,493
営業損失 863
営業外収益 23
営業外費用 2
経常損失 842
税引前当期純損失 842
法人税、住民税及び事業税 1
当期純損失 843


■日本でタクシーアプリを展開
出典:DiDiモビリティジャパン公式サイト

DiDiモビリティジャパンは、ソフトバンクと中国ライドシェア大手DiDi Chuxing(滴滴出行)の共同出資により2018年6月に設立された。

同社のタクシーアプリ「DiDi」は、目的地と乗車地点を入力すると指定の場所に平均5分1でタクシーが到着するアプリで、タクシー配車プラットフォームとして、タクシーに「乗りたい」と「乗せたい」という双方をアプリでマッチングし、タクシー配車の最適化を実現している。

現在は北海道、宮城県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県、広島県、福岡県、長崎県、沖縄県の15都道府県で展開している。

2023年1月に、ジョルダンが展開する乗換案内アプリと連携し、乗換アプリからDiDiでのタクシー配車が可能になった。また同年4月には、大阪エリアで契約タクシーの大幅増台を実現したことを発表した。新たに1,000台以上がDiDiの車両として稼働しているという。


■中国では自動運転開発も
出典:DiDiプレスリリース

DiDiは本国である中国ではライドシェア最大手となっている。また、自動運転開発にも力を入れている。

Didi Chuxingは2016年に自動運転部門を設立して以来、自動運転領域での取り組みを急ピッチで進めてきた。同年に中国と米国に研究開発センターを設置し、DiDiのプラットフォーム上で生成された膨大なデータを活用し、自動運転アルゴリズムの研究をスタートしている。2019年に研究開発部門を独立させている。

2020年6月に、自動運転開発の子会社のために5億ドル(当時のレートで約540億円)以上となる初の資金調達ラウンドをクローズしたことを発表した。過去にもDidi Chuxingに対して出資を行っているソフトバンクグループの独自ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が主導する形で資金調達が行われたようだ。

また2021年5月には、Didi Chuxingとスウェーデンの自動車メーカー・ボルボカーズが、自動運転分野で戦略的パートナーシップを結んだことが発表された。DiDiのロボタクシーの試験フリート向けに、NVIDIA DRIVE AGX Pegasusを搭載したXC90を導入し、DiDiの自動運転ハードウェアプラットフォームと統合を図っていくという内容であった。

最新のニュースでは、2025年からEV(電気自動車)メーカーと共同開発した自動運転車両を量産するという報道があった。2023年4月に自動運転開発を手がける子会社のCOO(最高技術責任者)がイベントで明かしたようだ。

■日本法人の黒字化に期待

DiDiモビリティジャパンの売上高は年を追うごとに倍増し、純損失はどんどん縮小している。黒字化も近そうだ。日本法人の業績に引き続き注目だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「DiDi日本のタクシー配車事業、売上高82%増の9.8億円」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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