米ライドシェア準大手のLyft(リフト)は、来る自動運転車時代を見据え、準備を進めているという。
2023年4月にCEO(最高経営責任者)に就任したばかりのデービッド・リッシャー氏が、米メディアのインタビューで「すぐに自動運転車を使う予定はないものの、技術の進歩にあわせて準備を進めている」と語っているようだ。
■Lyft新CEOの発言の真意は?
2012年設立のLyftはライドシェアサービスを手掛ける企業で、米国での市場シェアはUberに続き第2位となっている。マイクロソフトやAmazonで重要なポジションを務めた経験のあるリッシャー氏は、2023年4月17日にCEOに就任した。
そのリッシャー氏は「我々は自動運転が実現した時のため、その準備に全力を尽くしている。それが明日になるわけではないが、あなたが思っているよりも少し早く、今後2〜3年の間に自動運転車の導入ができるようになるかもしれない」と短中期的な展望を語っている。
ただし、Lyftは自動運転車の導入を「実験的」かつ「局所的」に既に進めている。2022年8月にラスベガスで、完全ドライバーレスでのライドヘイリングサービスでの運用を目的とした自動運転車をLyftネットワークに導入したことを発表した。
さらに同年11月には、カリフォルニア州ロサンゼルスでも自動運転車を導入したことを発表している。ユーザーがLyftのアプリで自動運転車をリクエストできるという仕組みだ。
ただこうした取り組みはあくまで限定的であり、リッシャー氏の意図は「本格的な自動運転車の導入は2〜3年後から」ということだろうか。
■従業員30%解雇の状況にあるLyftだが…
2022年11月にLyftは従業員の13%を削減することと、車両サービス事業の売却も検討していることを明かしていた。またリッシャー氏がCEOに就任後、従業員4,000人の30%にあたる1,200人を解雇することを発表したという。
Lyftは2019年3月に米ナスダック市場に上場したが、2021年3月以降、株価は下降の一途をたどっている。リッシャー氏がCEOに指名されたのは、身売りの準備だと予想するメディアもある。
こういったことから、経営状況はあまり良くないと考えられるが、新CEOがどういった舵取りをして経営の立て直しと自動運転車の導入を行っていくか、興味深い。
またリッシャー氏は、UberとLyftの競争により、消費者が利益を得ていると感じており、Uberを蹴落とす必要はないと考えているとインタビューで語っている。しかし、「全てのユーザーがUberとLyftのアプリの両方を持つべきだ。でもLyftを選んでほしい。私たちの方がより良い体験を提供できるから」とも話し、Lyftの運営について自信をのぞかせている。
同社の今後の展開に注目したい。
▼Lyft公式サイト
https://www.lyft.com/
【参考】関連記事としては「「完全無人」自動運転タクシー、Lyftがラスベガスで2023年から展開へ」も参照。