もう1人のApple創業者、イーロン批判!自動運転「約束破った」

ウォズニアック氏がCNNで語る



(左)スティーブ・ウォズニアック氏=出典:Flickr / Gage Skidmore (CC BY-SA 2.0)/(右)イーロン・マスク氏=出典:Flickr / Ennoti (Public Domain Mark 1.0)

米アップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏が、EV(電気自動車)大手テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏が自動運転車の実現という約束を果たしていないことについて、批判した。

ウォズニアック氏が2023年5月2日に米CNNに出演した際に語ったもので、この発言は波紋を広げているようだ。


■ウォズニアック氏が語った内容とは?

CNNの番組司会者はウォズニアック氏に、マスク氏と話をしたことがあるかを尋ねた。それに対しウォズニアック氏は「実際に会って会話をしたことはない。彼が世界のためにしてきたこと、EV(電気自動車)への転換は尊敬している」とした上で、2010年代にマスク氏が自動運転車の実現はすぐそこまで来ていると何度も約束したこと、しかしそれをいまだ果たしていないことを語り始めた。

「マスク氏は車両開発のために多額の資金を私から得た。また私も、2016年末までには自動運転により国中を横断できるようになるという、彼の発言を信じていた。私はそのモデルにアップグレードする必要があった。しかしご存じのように、5万ドル(670万円)では何もできなかった」とウォズニアック氏は発言した。(※「5万ドル」とは、ウォズニアック氏が購入してテスラの車両の価格のことを指しているとみられる)

さらに「8台のカメラを搭載した新型車両を用意し、2017年末には全米に普及させるといったことも私は信じていたが、現実にはほど遠いものであった」と語った。

■これまでのマスク氏の発言

実際、マスク氏は2014年頃から自動運転車実現に関する発言を繰り返し、いまだ実現していないという現状にある。


同氏の過去の発言を振り返ってみる。2019年4月には、2020年半ばにドライバーレスの自動運転タクシーサービス「Tesla Network」を開始する計画を明らかにしたが、その計画は実現されず、自動運転タクシーを2024年までに市場投入すると2022年4月に語っている。

2020年7月には、自動運転レベル5の完全自動運転について「近く実現するだろう」と語った。さらに同年12月には、「私は(自動車の)完全自動運転化を達成できる自信があり、2021年にはテスラの顧客にそれを届けることができるだろう」と発言している。

2021年1月には、FSD(Full Self-Driving)は人間による運転より安全性が高いといった趣旨のツイートをしている。また2022年8月には、年内に自動運転車を米国と欧米で展開すると発言した。

直近では、2023年4月に2023年中に完全自動運転を実現すると、決算説明会の場で説明した。


テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain
Apple共同創業者のウォズニアック氏

ウォズニアック氏は、かつて米ヒューレットパッカードで電卓設計の仕事をしていた。それと並行し、マイクロコンピューターを自作し、これが「Apple I」の原型になったとされている。その後の1976年、スティーブ・ジョブズ氏やロナルド・ウェイン氏らと共同でアップルを設立した。

ちなみに、2023年3月には、全ての企業や研究機関に高度なAI(人工知能)の開発を一時停止するよう求める署名活動が米国で始まったが、これにマスク氏のほかウォズニアック氏も賛同している。

■いよいよ今年中に実現する?

マスク氏の発言に翻弄されている人は多く、今回のウォズニアック氏によるマスク氏批判には賛同する声も一定数はあるだろう。

いよいよ今年中に完全自動運転を実現するというマスク氏の発言は現実のものとなるのか。行方を見守りたい。

【参考】関連記事としては「今度こそ本当?テスラ「年内に完全自動運転を実現」宣言」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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