自動運転開発を手掛ける米Aurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、定額制トラック輸送サービス「Aurora Horizon」を早ければ2024年に開始すると、このほど発表した。トヨタはAuroraと戦略的パートナーシップを組んでおり、この取り組みにプラスの効果を与えた可能性もある。
また同社は、自動車部品メーカー大手の独コンチネンタルとの独占的パートナーシップを発表した。これによりAuroraの自動運転システム「Aurora Driver」の新しいフォールバック(縮退運転)システムを開発する予定のようだ。
フォールバックシステムについては詳しくは後述するが、簡単に言えば、自動運転システムに障害が発生した場合に備えるシステムのことだ。
■定額制の自動運転トラック輸送サービス
Aurora Horizonは、Aurora Driverとサポートサービス「Aurora Services」によって構成される定額制の自動運転トラック輸送サービスだ。最初はテキサス州のダラス〜ヒューストン間で運用がスタートし、徐々に地域を拡大する予定だ。なおテキサス州では、高速道路での自動運転車の走行が2017年から合法となっているという。
このサービスでは、ドライバーレスのセミトレーラー(積載荷物の一部を連結したトラクターにもたせかける方式のトレーラー)により、荷物の運搬を行う。ドライバー不在になるため、給油や荷物の積み込み、メンテナンスの時だけは停車し、人が介入するようだ。
Aurora Driverは、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた自動運転システムで、4ドアセダンから大型トラックまで、幅広い車種に適応できる。コンパクトなコンピュータやLiDAR、カメラ、レーダー、マッピングシステム、シミュレーションシステムなどで構成されている。実走行データや信頼性の高いシミュレーションにより蓄積されたデータを、AI(人工知能)で学習し改善を常に行うよう設計されている。
■フォールバックシステムを開発
Auroraはコンチネンタルとの提携を2023年4月23日に発表した。これによりコンチネンタルは、Aurora Driverの自動車用レーダーやカメラ、高性能コンピューターなどのさまざまな機器の開発や製造を行い、Auroraの自動運転トラック輸送サービスの普及を支援していくという。
またこの提携により、Aurora Driver用の新しいフォールバックシステムを開発する予定だという。フォールバックシステムは、万が一主要な自動運転システムに障害が発生した場合、ドライバーレストラックが安全な位置に到着するまで運転タスクを継続できるように設計されているものだ。この提携により開発される製品は、2027年に米国で販売される予定となっている。
■トヨタと提携するAurora Innovation
Aurora Innovationは、Googleやテスラ、Uber出身の技術者3人が中心となり、2016年に設立された。2020年12月には、配車サービス大手Uber Technologiesの自動運転開発ユニット「Advanced Technologies Group(ATG)」を買収した。
2021年2月には、トヨタとデンソーと戦略的パートナーシップを締結した。その際は、トヨタのミニバン「シエナ」を改造した自動運転車を試作し、2021年末までに米国内で走行試験を始めることを発表しており、実際2022年3月にテキサス州で自動運転配車テストを開始している。
Auroraは、2021年11月に米ナスダック市場にSPAC上場している。これまで次々と大手企業と提携し、精力的に自動運転技術開発に取り組んできた同社。まずは来年のAurora Horizon実用化に期待したい。
▼Aurora Innovation公式サイト
https://aurora.tech/
【参考】関連記事としては「トヨタが提携中のAurora、自動運転トラック商用化へ最終段階」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)