トヨタ5人衆、「自動運転搬送システム」で技術開発賞

第73回自動車技術会賞の受賞者発表



出典:自動車技術会プレスリリース

自動車業界の技術者などで構成される公益社団法人自動車技術会(JSAE)は、「第73回自動車技術会賞」の受賞者を2023年4月30日までに発表した。この賞は、自動車技術の向上に多大な功績のあった技術者や研究者をたたえるものだ。

自動運転関連では、トヨタ自動車の「車両遠隔制御自律走行搬送システム」が技術開発賞を受賞した。


▼第73回自動車技術会賞
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■量産車の無人走行を可能に

技術開発賞を受賞したのは、トヨタ自動車の澤野拓朗氏、狩野岳史氏、安山翔悟氏、岩堀健人氏、池田圭吾氏の5人による「車両遠隔制御自律走行搬送システム」だ。

このシステムは、CASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング・サービス、E=電動化)を応用し、インフラカメラを用いて車両測位を行い、設備による運動制御値演算と無線通信で量産車を無人で走行させることを可能にしたようだ。

世界に先駆けて量産工場に導入しており、大幅な省人化を実現した。この技術は車両のアクチュエータを電子制御する汎用技術で、EV(電気自動車)とも親和性が高いため、工場だけでなくさまざまなモビリティサービスに転用できる可能性があるという点も高く評価されたようだ。


■トヨタが多数入賞

トヨタ自動車は今回、浅原賞技術功労賞で1件、論文賞で2件、技術開発賞で4件受賞している。

そのうち技術開発賞を受賞したうちの1件が「機械学習を用いた車両ドライバビリティ性能の自動評価法」だ。これまで熟練したドライバーが試作車を使って評価技術を行ってきたが、Power-Train Virtual and Real Simulator(PT-VRS)を用いた評価の自動化や、Bayesian Active Learning(BAL)による探索の自動化を実現している。

PT-VRSは実物のパワートレインと車両モデルを組み合わせたもので、BALは機械学習モデルが次のサンプリング点を能動的に判断することができるものだという。

ドライバビリティだけでなく、さまざまな性能評価、モビリティや機械製品に対しても有効である汎用性も高く評価されたようだ。なお、ドライバビリティとは、運転のしやすさ、操縦性のことだ。


出典:自動車技術会プレスリリース(※クリックorタップすると拡大できます)
■技術開発の動向に注目

次々に先進技術の開発を行うトヨタ。特に自動運転関連の技術開発は自動運転ラボも注目しており、自動車技術会賞などを通じて技術開発の動向を今後もウオッチしていきたい。

【参考】関連記事としては「トヨタと自動運転(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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