2023年4月、いよいよ電気自動車(EV)と自動運転に特化した世界初の高等教育機関が山形県飯豊町に開学する。その名も「電動モビリティシステム専門職大学(Professional University of Electric Mobility Systems)」だ。
4月に改正道路交通法が施行され、自動運転レベル4の公道走行が解禁されるタイミングでの開学でもあり、注目を集めそうだ。
■世界で活躍する人材の輩出目指す
同大学では、EV(電気自動車)と自動運転の分野を牽引してきた教授陣が集結し、高度な教育と研究を行う。世界のEVと自動運転を牽引する次世代の人材「Pioneer in e-Mobility system(電動モビリティシステム開拓者)」を育て、世界で活躍するEVや自動運転の研究・開発・設計者の輩出を目指している。
学生は「電池」「モーター・インバータ」「車体」「自動運転」の専門4分野をベースに、工学や専門分野の基礎と技術の理論、関連知識を講義で学ぶ。1年次から研究室に所属し、3年次後半から本格的に卒業研究を開始し、研究論文をまとめていく。それによりEVや自動運転における研究者や開発者、設計者として実践的で応用的な能力を身につけていくという。
入学定員40人に対し専任教員が23人、非常勤教員は外国人教員を含め20人という手厚い教育体制を敷いている。実習にはインターンシップも含まれており、国内の自動車関連企業だけでなく米国やドイツなどの海外企業での実習も用意されているようだ。
なお専門職大学とは、文部科学省が2019年に制度化した職業教育を行う大学のことだ。産業界との連携を土台にして、高度で実践的な能力と豊かな創造力を養うことを目的にしている。
■建物外には自動車のテストコースも
電動モビリティシステム専門職大学は教育棟と研究棟、実習棟、テストコースに分かれている。教育棟には、学生が自習やラウンジとして利用できるホールと図書館がある。奥には3DCAD室やものづくり室、フォーミュラー室があり、CAD用のパソコンやものづくりに欠かせない旋盤やフライス盤などの工作機械がある。
ものづくり室とフォーミュラー室は、講義以外でも学生同士が自由にものづくりできる空間で、電動フォーミュラーを最初から製作することも可能だという。研究開発棟は教員の研究室と、実験や実習を行うエリアだ。電池やモーター、インバーター、車体、自動運転などの実験実習と研究開発が行われる。
建物外には自動車のテストコースがあり、講義で開発したモーターや電池を搭載した自動車を実証して性能を確認できる。課外で制作したフォーミュラーカーの実証も可能だ。
個室の学生寮も整備され、学業に専念できる快適な環境が整っている。なお、自動車やオートバイでの通学も可能だという。
■日本のモビリティの未来を担う
EVと自動運転に特化した世界初の専門職大学の開学が目前だ。日本の電動モビリティシステムの未来を担う次世代の人材輩出に、大いに期待したい。
▼電動モビリティシステム専門職大学
https://www.mobility-ac.com/
【参考】関連記事としては「日本初!自動運転などに特化した「専門職大学」開学へ」も参照。