レストランで人間の代わりに自動ロボットが料理を運んでいるのを見たことがある人も、最近はかなり増えてきたのではないだろうか。
2023年2月に帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」によると、飲食店における正社員の人手不足割合は60.9%、非正社員の人手不足割は80.4%だという。特に非正社員の人手不足割合は、業種別で旅館・ホテルに続き飲食店が第2位で、突出して高い割合となっている。
その対策として、少ない人員でも効率良く店舗を運営するために導入され始めているのが、自動運転の配膳ロボットだ。
■すかいらーく、グループ3,000店舗の7割で
ファミレス最大手のすかいらーくホールディングスは、2021年8月から中国のPudu Roboticsのネコ型配膳ロボット「BellaBot」を導入している。2022年12月には、ガストやしゃぶ葉、バーミヤンなど全国約2,100店舗に3,000台を導入することを発表した。これは、すかいらーくグループが国内で運営する約3,000店舗の7割にあたるという。
同ロボット導入の目的は、「顧客満足度の向上」と「働きやすい職場環境」の2つで、導入の効果としては「片付け完了時間削減」「ランチピーク回転率改善」「歩行数削減」などが挙げられている。また、顧客アンケートでも9割が満足と回答しているようだ。
牛角などを運営するレインズインターナショナルは、2020年12月からソフトバンクロボティクスの配膳ロボット「Servi」を導入している。また、ロイヤルホストなどを運営するロイヤルホールディングスや、和食チェーン店を展開するがんこフードサービスは、コロナ前の2018年から配膳ロボットを導入している。
■自動運転の実用化の主要な舞台に
いまや配膳ロボットは、飲食店のほか、ホテルや病院、ゴルフ場などでも活躍している。人材不足解消のほか、コロナ禍で非接触の接客サービスが進んだというのも大きい。
しかし、あるファミレスチェーンでは、配膳ロボット導入により作業効率は上がったものの、常連客の高齢者の客離れが進んでいるという事例もあるようだ。近づいてくるロボットに気が付かずぶつかってしまうことを理由に挙げる高齢者もいるという。ただし、こうした課題はセンシング技術などの向上で解決されていくはずだ。
人材不足が深刻な現状を打破するためには、ロボット導入は確実に拡大していくと考えられる。自動運転の実用化の主要な舞台の一つはレストランと考えて差し支えなさそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転配膳ロボに「相棒」!席まで「一発」で…その仕組みは?」も参照。