トヨタ「我々とAppleは似ている」──その真意は?

一番に考えているのは「心の移動」



トヨタAppleは似ている」──。トヨタの公式YouTube動画で、こうしたことが語られた。一体どういった真意なのか。


語ったのは、アメリカのAI界において「至宝」と称され、現在はTRI(Toyota Research Institute)のCEO(最高経営責任者)を務めるギル・プラット氏だ。以下のYouTube動画の中でこうした趣旨のことを述べている。

■一番に考えているのは「心の移動」

動画は、トヨタの自動運転戦略について説明する内容だ。トヨタが自動運転レベル4の技術を開発していることに触れつつ、トヨタが目指す自動運転のポイントとして「あくまで人中心」「クルマが人にとって代わることはない」などが語られ、「トヨタとAppleは似ている」といった趣旨のことは動画の締めくくりの部分で語られた。

プラットCEOは「モビリティの未来」について問われ、「私たちが一番に考えているのは『心の移動』、すなわち感動なのです」と答え、「人と向き合う」ことの重要性を指摘した。


こうした文脈において、トヨタと似ているアメリカ企業としてAppleを挙げた。プラットCEOは「なぜ人々はiPhoneやApple製品が好きなのでしょうか」と問いかけ、「その答えは技術的な機能ではありません。もちろんそれも必要ですが、製品を買うときにAppleが自分を気にかけてくれていると感じるからです」「お客様が体験するすべての出来事に、企業の愛が反映されているのです」と説明した。

Appleに関してはしばしばUI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザー体験)の秀逸さが注目されるが、それがまさにユーザーへの愛がもたらすものと考えるなら、社会や顧客に向き合い、愛を持って開発を行うというトヨタの姿勢と一致する、ということなのだろう。

■選ばれるかは「愛」の差で決まる?

今回の動画に関しては、トヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」の記事(https://toyotatimes.jp/newscast/007.html)で詳しく紹介されている。

自動運転技術は現在多くの企業が開発に力を入れているが、ユーザーに愛されるようなインターフェースにしなければ、将来的に数多く登場するであろう自動運転車の中から自社のクルマを選んでもらえない。


ちなみにAppleも自動運転車を現在開発しており、将来的に商用展開するとみられている。トヨタの自動運転車が将来選ばれるのか、Appleの自動運転車が選ばれるのかは、両社のユーザーへの「愛」の差で変わってくるのかもしれない。

【参考】関連記事としては「トヨタと自動運転(2023年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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