「空飛ぶ軽トラ」の開発を進めている日本企業がある。産業用ドローン開発を手掛ける株式会社プロドローン(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:戸谷俊介 )だ。
社会課題にコミットするドローンとして、平時は医薬品や経口補水液を輸送し、災害時は救援物資を50キロ搭載して50キロ飛行できるエアモビリティを開発しているという。
この空飛ぶ軽トラの前段階といえる新製品を使用した取り組みが、このほど実施された。
■愛知県新城市で行われた検証飛行
愛知県新城市において、「高ペイロードドローンを活用した孤立集落への重量物を含む救援物資輸送の検証」が2023年2月14日に実施された。これは、東三河地域など山間部が抱える課題である、大規模災害時に孤立する集落への救援物資提供を行う運用モデルを検証するもので、水や食料などの小型資機材の大量輸送や、蓄電池などの重量物輸送が行われた。
この実証は、愛知県が事業委託元となり、名古屋鉄道は事業総括と関係者調整などを担い、生活協同組合コープあいちとミヤチは救援物資の提供を担当、新城市と豊川市、東三河ドローン・リバー構想推進協議会の3者は実証実験の協力を行った。
この実証で、プロドローンの新製品である「PD-Bear10」プロトタイプが利用された。この機種は、50キロを搭載し10キロを飛行可能となっている。量産化を見据えたシンプルな構造でメンテナンスしやすく、折り畳むことができ、ワンボックスバンに載せて搬送可能だという。
■山間部で取り残される不安を払拭へ
今回の飛行実証は、3回に分けて実施された。1回目は15キロのバルーンライトを、2回目は23キロの大容量蓄電池を、3回目は43キロの水・食料といった救援物資を輸送したという。なお、これにネットなどの重量3.5キロがプラスされている。
重量物の運搬飛行では、荷物を搭載しているときと搭載していないときで負荷が大きく変わり、搭載していないときにはモーターの回転数が低くなる。その際、飛行が不安定になる課題を抱えていたが、ゲイン調整や各アームの長さ変更、プロペラの見直しによって課題をクリアできたという。
大規模災害で孤立する山間部は全国にたくさんある。空飛ぶ軽トラのプロジェクトが実用化に入れば、災害時に大きな助けになることは間違いない。引き続き動向に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2023年最新版)」も参照。