MaaSの注目ベンチャーNearMe、最新決算では純損失2.2億円

有望市場でビジネスを積極的に多角化



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

タクシー相乗りアプリを展開する株式会社NearMe(本社:東京都中央区/代表取締役:髙原幸一郎)の2021年12月期決算(2021年12月31日現在)が官報に掲載された。

当期純損失は2億6,828万円、当期までの利益や損失の累計である利益剰余金は5億8,741万円のマイナスだった。2020年12月期の数字は見つからなかったが、2019年12月期決算では、当期純損失は7,576万円、利益剰余金は1億1,992万円のマイナスだった。


■2021年12月期決算の概要

▼資産の部(単位:千円)
流動資産 364,371
固定資産 33,778
繰延資産 40
資産の部合計 398,191

▼負債及び純資産の部(単位:千円)
流動負債 71,701
固定負債 199,362
株主資本 126,778
資本金 100,000
資本剰余金 614,196
資本準備金 614,196
利益剰余金 △587,418
その他利益剰余金 △587,418
(うち当期純損失)(268,284)
新株予約権 349
負債及び純資産の部合計 398,191

■NearMeとはどんな企業?

2017年7月に設立されたNearMeは、モビリティの需要と供給をAI(人工知能)でマッチングさせるサービスプラットフォームである「nearMe.(ニアミー)」を提供している。

同社のプラットフォームで効率の良い相乗りマッチングを実現することで、MaaSへの貢献を目指している。


ビジョンは「社会のあらゆる『もったいない』を解決し、サステイナブルで活き活きとした未来を実現する」だ。

■ビジネスを積極的に多角化

現在、nearMe.は空港や学校、ゴルフ場への少人数シャトルサービスやタクシーの相乗りサービスを展開している。空港へのシャトルサービスは、羽田空港や成田空港をはじめ、関西空港や伊丹空港、南紀白浜空港、新千歳空港、青森空港、秋田空港、中部国際空港、徳島空港、福岡空港、北九州空港、那覇空港と、自宅やホテルをドアツードアで結ぶサービスが実用化されている。

2年前には羽田空港と成田空港、那覇空港だけだったサービスが、この期間に全国の空港へサービスが広がっている。

2021年4月からは、保育園児の送迎向けの「nearMe.School(ニアミースクール)」を開発し、保育園と自宅間を送迎するサービスを開始している。雨天や真夏、真冬などの天候時にも停留所で待つ必要もなく、通学中の感染の恐れから解放されるなど親子にメリットがある。


出典:NearMeプレスリリース

2021年9月には、旅客業務を展開するスイスポートの羽田空港支店で勤務する職員の通勤をサポートする送迎サービスが、正式に導入されている。同年7月からトライアル運行を行ったところ、20%以上のコスト削減効果が見込めることが分かり、正式導入に至ったという。今後、成田空港をはじめ全国の空港でも展開できるよう、進めていくようだ。

2022年1月には、タクシー会社と10社の関連会社と共に展開するつばめタクシーグループとの業務提携も発表している。中部国際空港を利用する顧客の利便性を高めるべく、つばめグループとの連携により中部エリアでの拡大進出を検討していくという。

ビジネスを積極的に多角化している同社に引き続き注目だ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「MaaS・相乗りサービスのNearMe、2019年12月期決算の概要は?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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