マスク流「部下」論、Twitterでは厳しく、テスラでは優しく

FSD β版の利用拡大で、対照的な態度

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テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

EV大手の米テスラが提供する「Full Self-Driving(FSD)」のβ版が北米で有料化し、誰でも利用可能になるようだ。ただし、このFSD、直訳すれば「完全自動運転」だが、いまのところは自動運転はできず、「将来的に完全自動運転が可能なソフト」と解釈してほしい。

同社のCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏はTwitterで、「テスラのFSD β版は、北米で車内のスクリーンからリクエストすれば、このオプションを購入した人なら誰でも利用可能に」とツイートしている。

■テスラの従業員にねぎらいの声

FSDのβ版は2020年から限定的に提供を開始し、現在約16万人が利用しているが、サービス提供を受けるためには安全基準を満たし、かつ同社のADAS(先進運転支援システム)「Autopilot」で100マイル以上(約160キロ)の利用実績が記録されている必要があった。

独特の経営手法やTwitter買収で、まさしく「時のヒト」となっているマスク氏。「『重要なマイルストーン』を達成したTesla社のAutopilot/AIチームおめでとう!」ともTwitterでつぶやいている。純粋に従業員をねぎらいたい気持ちなのだろう。

しかしマスク氏は最近、Twitterの従業員に過酷な労働を強いようとしている(=嫌なら退職していい、という狙いで?)向きもあり、「テスラの従業員とTwitterの従業員に対する態度が違いすぎるのでは・・・」といった声もある。

■FSDはOTAによって自動運転ソフトに

FSDについて、少し説明を付け加えておこう。FSDは「OTA」(Over The Air)と呼ばれる無線アップデートによって、いずれは自動運転機能の利用が可能になる予定だ。

【参考】関連記事としては「Over The Air(OTA)技術とは?(2022年最新版)」も参照。

FSDのβ版は、車両代金とは別に1万5,000ドル(約208万円)のパッケージを購入するか、月額199ドル(約2万8,000円)のサブスクリプションを契約すれば、利用することが可能となっている。

追加で6,000ドル(約83万円)を購入すれば、Auto ParkingやSmart Summonなどの駐車をアシストする機能などもつけることが可能だ。

ちなみにこのFSDについては、2016年に開発計画がスタートした当時、マスク氏は「およそ1年以内にドライバーがハンドルを握らなくてもよくなるところまで進歩する」と語っていた。

■FSDの進化に世界が注目

FSDに関しては、バージョンがアップデートされる度にニュースとして話題になるなど、アメリカを始めとして世界各国で非常に関心が高い。自動運転ラボもFSDの進化を引き続きウオッチしていく予定だ。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2022年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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