エストニア企業Clevon、中間サイズの自律配送ポッドを開発

アメリカ進出、将来は製造拠点開設も検討



出典:Clevonプレスリリース

自動配送ロボットよりは大きく、自動運転タクシーよりは小さい、ミドルサイズの自律走行配送ポッドを開発している企業がある。エストニア企業のClevonだ。同社が開発している自律走行配送ポッドは、欧州で2020年から商業利用されてきた。

そんな同社がこのほど、テキサス州フォートワースにアメリカ事務所を開設した。事業を拡大するための米国進出で、同社のSander Sebastian Agur最高経営責任者(CEO)は、さまざまな大手小売業者や配送業者を顧客として獲得することに意欲を示している。


■最高時速は52キロ、航続距離は最大100キロ

Clevonは自律走行配送ボットは、カメラとレーダーによる無人走行を可能にしている。米メディアの報道によれば、米NVIDIAや日本の東芝などが技術パートナーだ。

同社が開発する配送ポッド「Clevon 1」は、収納ボックスを載せる部分を用途に応じて交換することができ、最大で1.5立方メートルの収納スペースを確保することができるという。以下のような具合だ。

出典:Clevon公式サイト

最高時速は時速32マイル(時速約52キロ)で、1回の充電で走行できる航続距離は62マイル(約100キロ)となっている。最大積載量は200ポンド(約90キロ)。

すでに欧州では商業利用されているが、アメリカ進出に伴い、テキサス州フォートワースの自治体や地方議員から協力をとりつけ、まずは実証実験をするための認可を取得する予定だという。


■ミドルマイル輸送の効率化に挑戦

同社は米物流大手のFedExや自動運転開発ベンチャーの米Aurora Innovation、中型トラックの自動運転化に取り組むカナダ企業のGatikとも協業し、さまざまな自動運転モビリティを組み合わせることで、ミドルマイル輸送の効率化・省コスト化を目指していく考えのようだ。

ちなみに現在は自律走行配送ポッドの製造拠点は欧州にあるが、アメリカでの注文が増えていけば、米国内で組み立て工場を開設することも検討するという。

■エストニア企業への注目度アップ?

報道によれば、エストニアは国民1人当たりのテック系ユニコーン数が世界で最も多い国だ(ユニコーンとは時価総額10億ドル以上の非上場企業を指す)。エストニアを本拠地とする企業としては、自動配送ロボットを開発するStarship Technologiesもある。

自動運転関連の企業と言えば、アメリカや日本、欧州、中国イスラエルなどに注目が集まりがちだが、エストニア企業の存在感も今後高まってきそうだ。


▼Clevon公式サイト
https://clevon.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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