ついにUber Eatsが自動運転配送!配送車開発のNuroと契約

「ギグワーカー」の仕事はなくなる?

B!
出典:Nuro公式ブログ

フードデリバリーサービスを展開している米Uber Eatsは2022年9月12日までに、自動運転配送ロボットを開発している米Nuro(ニューロ)と、10年契約を締結したことを発表した。今秋から初期テストとして、2都市にNuroの自動配送ロボットを配備するという。

フードデリバリーの担い手は、現在は「ギグワーカー」たちだ。今回のニュースは、このギグワーカーたちの仕事の大部分が、いずれは自動配送ロボットが担う未来を感じさせる。タクシーがロボットタクシーに取って代わられるという構図と似ている。

■10年契約の背景にあるもの

この秋からカリフォルニア州マウンテンビューとテキサス州ヒューストンにおいて、Nuroの自動配送ロボットがUberEatsの食品やその他の商品などを配達することになる。導入されるロボットの台数や対象顧客数などは明らかになっていないが、対象エリアは今後拡大する予定だという。

Uber Eatsは2019年にNuroのロボットによる自動配送をヒューストンで行おうとしたが、その計画は頓挫した経緯がある。両社は、最近になってラストマイル配送の需要が一層高まっていることに注目し、10年という長期契約に至ったのだという。

報道によれば、Uber Eatsの幹部は「Nuroの自動運転ロボットはUberEatsのビジネスと非常に相性がいい」とした上で「今回の提携により、顧客と販売店にとっては利便性やコストパフォーマンスがアップするだろう」と語っているという。

ちなみにUber Eatsは今回のNuro以外にも、すでにServe RoboticsやMotionalなどと自動配送サービスで提携し、ロサンゼルス地域で実証実験を行ってきた。

出典:Uberプレスリリース
■元Google組が創業したNuro

Nuroは、Googleの自動運転プロジェクトを牽引したJiajun Zhu氏とDave Ferguson氏が創業者だ。両氏は2016年にGoogleをともに退社して同社を設立した。自動運転技術を活用した無人配送車の開発が主な事業だ。

これまでに米スーパーマーケット大手のKrogerやWalmart、宅配ピザ大手のDomino’s Pizza、米薬局チェーン大手のCVS Pharmacy、物流大手の米FedExなど、多くの企業と戦略的パートナーシップを結んできた。

また2019年には、ソフトバンクグループの投資ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が9億4,000万ドルを出資、2021年にはトヨタグループの投資ファンドであるウーブン・キャピタルが出資を行っている。

出典:Nuro公式サイト
■Nuroの自動配送ロボ「R2」のスペック

Uber Eatsが導入するNuroの自動配送ロボットは、Nuroの第2世代ロボット「R2」だと予想される。

R2は全長約270センチ、車幅約110センチ、高さ約180センチで、高さ以外は軽自動車よりも二回り小さいサイズだ。360度計測を実現するカメラやLiDAR、レーダー、オーディオセンサーなどを備え、安全な走行を実現している。走行時速は45マイル(約72キロ)で、食料品用の袋が24個入るスペースがある。

R2は2020年2月に、米国運輸省(DOT)と米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から公道走行の認可を取得した。DOTによる自動運転車の承認はR2が初であったという。

■デリバリービジネスの構造が根本から変わる

いよいよデリバリーサービスの「無人化」が本格化する。もちろん、人間でなければ顧客のドア前まで配送できないこともあるが、人間が担っている配送作業の大部分は、自動運転配送ロボットや自動運転車が担うようになっていく。

デリバリービジネスの構造が根本から変わろうとしている。

▼Nuro公式サイト
https://www.nuro.ai/

【参考】関連記事としては「Nuroの自動運転配送ロボ、中国EV大手BYDが製造パートナーに」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
関連記事