米GM傘下のCruise(クルーズ)が、ドバイでの自動運転タクシーのローンチに向け、着々とプロジェクトを進めている。2023年からのサービス開始の前段階として、自動運転車用のデジタルマップの作成開始を、ドバイ交通局(RTA)がこのほど発表した。
すでに自動運転タクシーを商用展開している米企業としては、Google系WaymoとCruiseがあるが、海外で自動運転タクシーを展開している米企業はない。ドバイでのCruiseによる自動運転タクシーの運行は、米企業にとって初めての「自動運転タクシーの輸出」となりそうだ。
■ボルトEVでマッピング、サービスでは「Origin」使用
Cruiseは、自動運転タクシーを独占的に運行する契約をドバイ交通局と2021年4月に結び、2023年からドバイで自動運転タクシーの運行を開始すると発表している。
投入するのは、自動運転モビリティサービス専用車両「Origin(オリジン)」で、2030年までに4,000台を普及させる計画だ。
マッピングに使用するのはシボレー・ボルトEVで、最初は2台を専門のドライバーが運転するという。この車両は、LiDARやカメラなどのセンサー群を搭載した専用のマッピング車両で、ドバイの街中を走行しデータを収集する。
そして収集したデータを基に、自動運転車用のデジタルマップが作成される。
■自動運転システムに修正の必要性?
Cruiseの自動運転タクシーに関しては、アメリカ国内でさまざまな騒動が起きていることが知られている。詳しくは自動運転ラボの記事「住民唖然!Cruiseの自動運転タクシー、深夜の「道路封鎖」」「Cruise内部からの手紙「自動運転タクシーに多数の懸念」」も参考にしてほしいが、こうした問題がドバイで起きないよう、自動運転システムの修正を早期に行う必要もありそうだ。
また、気になるのは、今後のWaymoの動向だ。「輸出」でCruiseに先を越されたあと、Waymoも海外展開を急ぐのだろうか。いまの所、米国内での自動運転タクシー事業の展開は順調なようで、内部的に海外展開を検討しているのか、注目が集まる。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)