自動運転レベル3でできることは?(2024年最新版)スマホ・飲酒・睡眠は可能?

セカンダリアクティビティについて解説

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ホンダが発売したレベル3乗用車「新型LEGEND」=出典:ホンダプレスリリース

ホンダ「LEGEND(レジェンド)」を皮切りに自動運転レベル3搭載車種が増加の様相を呈している。メルセデスがホンダに続き、BMWも2024年3月からレベル3機能を一部車種にオプションで搭載することを発表した。

自家用車における自動運転技術の普及がいよいよ本格化の兆しを見せているが、レベル3による自動運転において、ドライバーはどのような行為が許容されるのか。この記事では2024年時点の情報をもとに、レベル3におけるセカンダリアクティビティについて解説していく。

<記事の更新情報>
・2024年4月8日:レベル3の展開状況について追記
・2023年11月28日:BMWのレベル3機能展開について追記
・2022年7月22日:記事初稿を公開

■レベル3の概要

自動運転レベル3とは?

レベル3は自動運転における初歩の段階で、限定された運行設計領域(ODD)においてシステムが全ての動的運転タスクを実行する。作動継続が困難となった場合は、システムからドライバーに運転介入要求(テイクオーバーリクエスト)が発され、ドライバーは迅速に手動運転を行う必要がある。

【参考】関連記事としては「自動運転とODD」も参照。

ODDは各社の自動運転システムによって異なるが、例えば「好天下の高速道路(自動車専用道路)において時速60キロ以下で走行中」といった具合に、道路条件や地理条件、環境条件、インフラ協調システムの有無など、さまざまな条件のもと設定される。このODDにおける各条件を満たす場合に自動運転システムを使用することができるのだ。

ただし、ODDから外れる際やODD内であってもシステムが自動運転を継続困難と判断した際などは、システムからドライバーに運転を交代するよう要請が行われる。ドライバーは、この要請に迅速に応答し、手動運転で自動車の制御を引き継がなければならない。

ドライバーは自動運転中、周囲の監視義務を免れる。ハンドルから手を離す「ハンズオフ」はもちろん、前方など車両周囲から目を離す「アイズオフ」が可能になる。

【参考】自動運転レベル3については「自動運転レベル3とは?定義は?ホンダ、トヨタ、日産の動きは?」も参照。

レベル3搭載車は?

出典:ホンダプレスリリース

一般市販車では、ホンダが2021年3月に100台限定でリース販売を開始した新型レジェンドが世界初のレベル3実装車両となった。

ホンダのレジェンドには、渋滞時に自動運転を可能にする「トラフィックジャムパイロット」が搭載されている。高速道路や自動車専用道において渋滞または渋滞に近い混雑状況下、時速30キロ未満などの条件が揃えば最大時速50キロ以下の範囲で自動運転が可能となる。

【参考】ホンダのレベル3については「ホンダの自動運転戦略(2022年最新版) レベル3市販車「新型レジェンド」発売」も参照。

その後、2022年に入ってメルセデス・ベンツが「Sクラス」などにオプション設定を開始した。そしてBMWが2023年11月、レベル3機能を搭載した車種を2024年3月からリリースすることを発表した。新型「7シリーズ」にオプションとして搭載され、まずはドイツ国内限定で提供されるという。

そのほか、今後どのような自動車メーカーがレベル3開発に乗り出すのか、注目だ。

【参考】メルセデスのレベル3については「自動運転、2社目の「レベル3提供」はメルセデスベンツ」も参照。

【参考】BMWのレベル3については「自動運転レベル3機能、「世界3番目」はBMW濃厚 来年3月から提供」も参照。

■レベル3で可能になること

スマートフォンなどの利用が可能に

車両周囲の監視義務がなくなり、アイズオフが可能になるレベル3では、運転以外の行動(セカンダリアクティビティ・セカンドタスク)としてどのようなことが可能になるのか。

道路交通法では、正しく自動運行装置を用いている場合に限り、「第71条第五号の五」に定める携帯電話用装置などの利用を制限する条項を適用しないこととしている。つまり、法律上明確に許された行為はスマートフォンやカーナビの操作に限られているのだ。

読書やゲーム、食事は?

重要なのは、自動運転システムからのテイクオーバーリクエストに迅速に応答し、正常に運転操作を引き継げるかどうかだ。

例えば飲酒は、テイクオーバーリクエスト後に正常な運転操作を行うことができないため厳禁となる。睡眠は、テイクオーバーリクエストに迅速に応答できない可能性が高いため、これも不可となる。

では、読書や簡単な仕事、ゲーム、食事などはどうか。スマートフォンの使用が許容されるのであれば、電子書籍やゲームアプリも許容されると解することができるため、読書やゲームは可能となる可能性がある。

仕事についても、よほど大掛かりな機材を持ち込んだりしない限り問題はなさそうだ。食事については、おにぎりやサンドイッチのようなものであれば許容される可能性が高いが、カップ麺のような汁物は熱湯をこぼす可能性があるため、判断が分かれそうだ。

このほか、運転席を離れ、助手席や後部座席に移動するような行為も、テイクオーバーリクエストに迅速に応答できない可能性が高い。

ケースバイケースでの現場対応が必要?

現状、警察庁はレベル3におけるセカンダリアクティビティとして許容される行為について明確な指針を公表しておらず、ケースバイケースでの現場対応となる可能性がありそうだ。

なお、2017年度警察庁委託事業でみずほ情報総研が作成した「技術開発の方向性に即した自動運転の段階的実現に向けた調査研究報告書(概要)」によると、レベル3以上のセカンダリアクティビティとして考えられる行為としては、以下を例示している。

▼技術開発の方向性に即した自動運転の段階的実現に向けた調査研究報告書(概要)
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/jidounten/2018houkokusyo.pdf

一定の議論は行っているものの、現時点では明確な線引きを行わず、様子を見ながら徐々に細部を詰めていく方針かもしれない。

【参考】セカンダリアクティビティについては「自動運転なら「居眠り」してもいい?レベル3に求められるモラルは?」も参照。

自動運転走行をどのように見極めるかもカギに

別の観点では、取り締まりを行う警察官が該当車両が自動運転中であることをどのように確認するか――といった問題もある。自動運転車は、外向け表示として自動運転車であることを示すステッカーを車体後部に貼付することが義務付けられているが、現在の走行が自動運転システムによるものなのか、また前方や側方から該当車両が自動運転車かどうかを知る術はない。

普及が本格化する前に、さまざまな観点からレベル3を見つめ直す必要がありそうだ。

■レベル3の未来

高速道路は時速130キロまで対応

国内では、レベル3走行を可能にする改正道路交通法と改正道路運送車両法がそれぞれ2020年4月に施行され、条件を満たす自動運行装置による公道走行が可能になった。

レベル3に関する国際基準関連では、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において2020年6月に国連協定規則が成立し、高速道路における時速60キロ以下での車線変更なしの走行が乗用車を対象に認められるようになった。

2021年11月には対象車種がバスやトラックなどにも拡大され、2022年6月には上限速度を時速130キロに引き上げ、乗用車に限り車線変更も可能とする改正内容が合意に達している。

この改正が適用されれば、高速道路におけるレベル3は渋滞時などに限定されることなく平時にも使用可能になる。実用域での使用が可能となればこれは大きな進展と言え、レベル3の普及に拍車がかかりそうだ。

搭載車種やODDの拡大が今後の焦点に

今後の焦点は、レベル3実装車両の拡大による自動運転技術の浸透と、さらなるODDの拡大だ。幹線道路や郊外主要道路などにどのように拡大していくかがポイントとなる。

交差点や駐停車車両の存在、歩行者・自転車など課題は多いが、レベル2におけるハンズオフ運転の実績や、レベル4実証・サービスなどにおける知見などを参考に、クリアしやすい環境から順次導入されることが望まれる。

【参考】関連記事としては「自動運転とODD(2023年最新版)」も参照。

■【まとめ】セカンダリアクティビティは徐々に線引きが進む

レベル3におけるセカンダリアクティビティについては、今のところ判然としない状況が続いており、明確に許容されているのはスマートフォンなどの使用に限られている。

ある種慎重な姿勢を崩さず状況を見守っている感が強いが、知見を積み重ね徐々に線引きが進んでいくものと思われる。

今後議論がどのように進められていくのか。また世論としてどのような需要が生まれていくのか、要注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧」も参照。

■関連FAQ

(初稿公開日:2022年7月22日/最終更新日:2024年4月8日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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