NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)は2022年6月19日までに、自動運転レベル3〜5のADS(自動運転システム)と、自動運転レベル2のADAS(先進運転支援システム)に関し、2021年7月以降に報告を受けた事故データについて公表した。
NHTSAは2021年6月に、ADSとADASを搭載する車両のメーカーとオペレーターに対し、同システム作動時の特定の衝突を報告するよう義務づけている。ADSの衝突事故で最も多かったのがGoogle系Waymoで62件、ADASの衝突事故ではテスラが273件で最多だった。
▼NHTSA Releases Initial Data on Safety Performance of Advanced Vehicle Technologies
https://www.nhtsa.gov/press-releases/initial-data-release-advanced-vehicle-technologies
■自動運転システムの事故の多さTOP10
ADS搭載の車両の事故においては、衝突の30秒以内に自動運転システムが使用されており、衝突によって物的損害または負傷が発生した場合に報告の義務が発生する。事故の報告件数ランキングは以下の通りだ。
1位:Waymo LLC(62件)
2位:Transdev Alternative Services(34件)
3位:Cruise LLC(23件)
4位:General Motors,LLC(16件)
5位:Zoox(12件)
6位:Argo AI(10件)
7位:Ford Motor Company(7件)
8位:May Mobility(3件)
8位:Mercedes-Benz(3件)
8位:Pony.ai(3件)
Waymoが最多だった。2位と倍近い差がある。ただし、Waymoがトップになっていることに関しては、同社が展開している自動運転車の数は他社よりも圧倒的に多いため、「事故の件数が多い=事故率が高い」と結び点けるのは短絡的だ。
Waymoは2018年12月に世界で初めて自動運転タクシーサービスを実用化させており、その後、展開台数・展開エリアを拡大してきた経緯がある。
■レベル2のADASの事故の多さTOP10
レベル2のADAS搭載車両の事故においては、衝突の30秒以内にレベル2のADASが使用されている状況で、死亡事故や負傷事故、車両の牽引する事態などが起きた場合に報告する義務が発生する。ランキングは以下の通りだ。
1位:Tesla(273件)
2位:Honda(90件)
3位:Subaru(10件)
4位:Ford Motor(5件)
5位:Toyota(4件)
6位:BMW(3件)
7位:General Motors(2件)
8位:APTIV(1件)
8位:Hyundai(1件)
8位:Lucid Motors(1件)
8位:Porsche(1件)
8位:Volkswagen Group(1件)
テスラが大差をつけて最多で、その次にホンダ、スバルと続いている。
■事故データの公表は非常に意義があること
自動運転技術が開発されている目的の1つとして、手動運転より低い事故率を実現し、交通事故を極限まで減らすことがある。そういう意味でも、こうした事故データが実際に公表されることは非常に意味のあることだと言える。
NHTSAは今後も定期的に事故の件数情報を公表していく方針だ。その内容を引き続きチェックしていきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転車の事故」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)