自動運転開発を手掛ける米国の有力スタートアップであるArgo AIは2022年5月25日までに、米フロリダ州マイアミとテキサス州オースティンで、完全無人の自動運転タクシーを試験導入したことを発表した。
■車内にセーフティドライバーを乗せずに
Argo AIはこれまでも両都市で自動運転タクシーのテストを実施してきたが、その際はセーフティードライバーが運転席に座り、いつでもハンドルを握れる状態を維持していた。
今回始まったドライバーレスの自動運転車の走行は、Argo AIの従業員向けに運用し、その後、一般向けに商用展開することを目指すという。車内にセーフティドライバーを乗せないで運行する場合、自動運転レベルは「4」となる。
恐らく、従業員向けの運用を成功させたあと、まずは一般向けに運賃無料で展開、その後、有料で展開するという流れではないだろうか。
自動運転タクシーに関しては、Google系Waymoが2018年12月に商用サービスをスタートさせたあと、最近ではGM Cruiseも事業をスタートさせている。Argo AIはフォードから出資を受けており、フォード・Argo AIのタッグがこの2社をどこまで追い上げられるか、注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル4、いつから解禁?」も参照。
■ウォルマートやLyftと業務提携、狙いは?
Argo AIは、Googleの自動運転開発部門に勤めた経験があるブライアン・サレスキー氏と、Uber Technologiesの自動運転開発部門でリーダーを務めていたピーター・ランダー氏によって、2016年に設立された。米国本社は米ペンシルベニア州ピッツバーグに、欧州本社はドイツのミュンヘンに設置されている。
同社は自動運転技術の開発だけではなく、無人タクシーなどの「サービス」の展開にも力を入れており、特に都市圏でサービスを展開することを目指している。
マイアミやオースティンのほか、すでに米国のワシントンD.C.や欧州の5つの大都市でも自動運転の走行テストを実施しており、走行データを大量に取得しながら、そのデータを活用して技術を進化させている。
小売大手の米Walmart(ウォルマート)やライドシェア準大手の米Lyft(リフト)と業務提携しており、自動運転技術をさまざまな事業領域へ展開しようという意図があるのは明らかだ。
■レベル4の技術力の高さを証明できるか
セーフティドライバーが乗った状態での自動運転(=レベル2)と、特定エリア内における完全無人での自動運転(=レベル4)とでは、技術レベルに大きな差がある。Argo AIが実際の公道でレベル4の技術力の高さを証明できるか、まず注目だ。
▼Argo AI公式サイト
https://www.argo.ai/
【参考】Argo AIの歴史については「Argo AI、自動運転の年表!米有力スタートアップ、VWとFordが出資」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)