川や水路の上空が「空の幹線道路」に ドローン配送実証から考える

福島県桑折町でフードデリバリー実験



赤色の線が走行ルート=出典:トルビズオン社プレスリリース

「農業用水路の上空」を使ったドローン活用型フードデリバリーの実証実験が、2022年4月24日までに福島県桑折町で実施された。

実証実験は、「sora:share(ソラシェア)」というドローン飛行支援サービスを提供するトルビズオンと建設コンサルタント大手の日本工営、桑折町などが共同で実施した。


■農業用水路の上空を使って人気のピザを配送

いま農業水利施設を維持管理している自治体や土地改良区では、施設の老朽化などによって維持・管理の負担が増大している。今回の実証実験はこの課題を解決するため、農業用水路の上空を使って収益源を確保することにつなげる目的がある。

実証実験では農業用水路の上空などを使い、桑折町で人気のピザ屋の商品を地元住民にドローンでデリバリーした。飛行距離は約3キロ。トルビズオンと日本工営は、今回のモデルを全国展開することを目指していく考えのようだ。

ちなみに桑折町は将来的には「空飛ぶクルマ」の活用も見据えており、福島市や伊達市、国見町などの周辺の自治体と連携を進めることも視野に入れているという。

出典:トルビズオン社プレスリリース
■別のドローン配送では「川の上」を活用

ドローン配送に関しては、「川の上」も活用されている。ゼンリンは2021年11月、長野県伊那市の三峰川上空を飛行するドローン配送サービスを開始すると発表している。


川の上空や農業用水路の上空は、万が一、荷物が落下したりドローンが落下したりしても、その下を歩いている人がいるわけではないため、人が負傷する事故が起きるリスクを回避できる。

過去に大阪府の吉村洋文知事も、空飛ぶクルマの実現に向けた飛行ルートについて「川と海があるから、その上を通ったら行けるじゃないか」と発言したこともある。

このように考えると、川の上空や農業用水路の上空は、ドローンや空飛ぶクルマにとっての当面の「幹線道路」のような存在になり、ルート設定の多くのケースで利用されるようになるかもしれない。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの実用化、「川の上から」構想 安全面に配慮」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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