自動運転開発で世界をリードする存在ともいえる米Google系Waymo。そのWaymoの自動運転タクシーの有料サービス「Waymo One(ウェイモワン)」が世界で初めて商用化されたのは、米国の「アリゾナ州フェニックス」だ。
ただし、日本人の多くはアリゾナ州フェニックスと聞いてもピンとこないかもしれない。アメリカのどこに位置し、どんな街なのか。
■カリフォルニア州の東隣に位置
アリゾナ州はアメリカの西海岸側にあり、カリフォルニア州の東隣に位置している。フェニックス(Phoenix)はアリゾナ州の州都で、人口は160万人ほどだ。
砂漠地帯の中心にあり、乾燥した気候が特徴でもあるフェニックス。近年、半導体産業やエレクトロニクス産業の集積が進みつつあることから、シリコンバレーならぬ「シリコンデザート」と呼ばれるようになった経緯がある。
現在は、半導体の受託製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)がフェニックスで工場を建設していることでも知られている。
■Waymoが世界初の自動運転タクシーを展開
そんなアリゾナ州フェニックスでWaymoは2018年12月、自動運転タクシーの商用サービスをスタートした。当初はセーフティドライバーを全ての車両に乗せていたが、2019年12月からは一部車両を完全無人で運用している。
こうした取り組みが他の都市に先駆けて始まったことで、フェニックスの住民には自動運転タクシーがすでに身近な存在になりつつある。また、Waymoの自動運転タクシーを体験しに、世界中からさまざまな企業の経営者や技術者、研究者がフェニックスを訪れるようになった。
フェニックスに関しては2021年12月、中国系スタートアップのTuSimple(図森未来)がアリゾナ州フェニックスとツーソンを結ぶ高速道路で、自動運転トラックの完全無人オペレーションを成功させたことでも話題になった。
自動配送ロボットが開発している米Nuroも、フェニックスで無人配送の実証実験を重ねる。
■自動運転の「3大州」は隣り合っている
ちなみにフェニックスの北西には、ラスベガスを擁するネバダ州がある。ラスベガスでは、韓国のヒュンダイと米自動車部品大手Aptivの合弁会社であるMotionalが、MaaS事業を手掛ける米Viaとともに、自動運転タクシーを展開している。
そしてカリフォルニア州はアメリカで最も自動運転の実証実験が盛んな州で、すでに実用化も一部企業が開始している。つまり、「アメリカ×自動運転」を語る上ではずせない3つの州はそれぞれ離れた地域に位置しているのではなく、密接しているということだ。
アメリカの自動運転事情について、こうした地理的な知識を持ち合わせておいても損はない。
【参考】関連記事としては「MotionalとVia、ラスベガスでオンデマンド自動運転タクシーのサービス開始」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)