自動運転車が渋滞を緩和させるワケ 米ミシガン大学の研究「たった1台でも軽減」

日本でも進む研究結果も紹介


一般的に、渋滞は走行する車両の数が道路の輸送キャパシティを超えた時に発生する。例えば、年末年始や大型連休など走行車両が急増する場合や、道路工事や交通事故などで交通そのものが制限された際などだ。また、走行車両数が輸送キャパシティを超えていなくても、先行車の減速やブレーキ操作が後続車へ連鎖して広がっていくケースも多い。







しかし、自動運転技術を搭載した自動運転車が本格的に普及するようになると、渋滞軽減に一定の効果があるとされている。その理由について、米ミシガン大学が発表した自動運転に関する研究などを参考に、考えていきたい。

■自動運転車が8台に1台いるだけで渋滞が緩和

ミシガン大学の研究によれば、自動運転のコネクテッドカーが1台走行するだけで渋滞が緩和されるという。

先行車が何らかの理由で減速した場合、後続車も当然減速しようとブレーキをかける。この際、先行車の減速に気付いてから後続車が減速するまで若干の「間」ができる。その「間」は、たとえわずかであっても次の後続車に連鎖していく。

そして、連鎖すればするほど影響は大きくなっていき、仕舞いには後続車は完全停止してしまう。より強くブレーキをかける必要がある車間距離の短い走行車がいれば、より早く渋滞を発生させることにもなる。

しかし、ここに自動運転のコネクテッドカーが1台加わることで状況が変わるという。自動運転車は常に適切な車間距離をとり、前方の先行車などを常に監視しているため、先行車の減速にいち早く気づき、迅速かつ最低限のブレーキをかけることができる。

ミシガン大学が実際に自動運転のコネクテッドカー1台を含む8台の車両で実験を行ったところ、コネクテッドカーの緩やかな減速によって後続車も円滑にブレーキをかけることができ、渋滞を回避できたという。米イリノイ大学でも同様の研究が行われており、5%の車両が自動化されていればこの手の自然渋滞は緩和されると発表している。

■日本でも東大教授らが研究「自動の車間調整で渋滞減」

数理物理学者で渋滞学を専門とする東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授によると、以前高速道路で発生した約40キロメートルのある渋滞事例を調べたところ、たった1台の車の車線変更が原因だったという。極端な例だが、あまりにも急な割り込みだったため後方の自動車が次々にブレーキを踏み、長距離渋滞につながったという。

西成教授は、渋滞緩和には適切な車間距離の調整が重要とし「車間調整を人ではなく自動で行うことにより渋滞を減らすことができる」としている。

また、情報処理学会の全国大会で報告された「自動運転普及期における交差点進入支援方式」という研究では、片側1車線の無信号丁字路において自動運転車両が優先道路の交通の流れを調節しつつ、もう片方の道路からの車両の進入を促すシミュレーションを実施。合流車両の待ち時間を優先したため交通の流れに悪影響を及ぼす場面もあったが、渋滞軽減効果の向上に期待できる結果が得られたという。

【参考】詳しくは「自動運転普及期における交差点進入支援方式」も参照。

■ライドシェアの普及で車両数は減る? 増える?

このほかにも、ダイナミックマップの導入によりちょっとした坂道による自然減速を予測したり、前方渋滞時の回避ルートなどを現行のVICS(渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムに送信するシステム)よりも正確に解析したりすることが可能になる。

【参考】ダイナミックマップとは、従来の建物や道路などの情報をより正確にデータ化した3D(3次元)高精度地図に、交通規制予定情報や道路工事情報、時間とともに変化する周辺車両や歩行者情報、信号情報などの動的情報を重ね合わせたもの。各車両が得た情報をクラウドを通じて共有することで自動運転の精度も飛躍的に向上する。

またライドシェアが普及すれば、走行車両そのものが減少し、円滑な道路交通の一助にもなるという見方もある。しかしライドシェアについてはこのことに懐疑的な意見もある。自動運転車のライドシェアが普及するようになると、電車などの公共交通機関を使うより移動コストが下がるようになり、結果的にライドシェア向けの車両台数が増えて渋滞が悪化するという研究もある。

自動運転車が実際に普及するとどれだけ渋滞緩和効果が出てくるか、今後も注目していきたい。







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