テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏が、Twitterでまた話題になっている。「自動運転車が渋滞を狂気的レベルに増幅する」とツイートしたからだ。通説では自動運転車は渋滞の緩和に寄与するはずだが、なぜ自動運転車が渋滞を悪化させるのか。
■なぜ自動運転車が渋滞を悪化させるのか
自動運転車が渋滞を緩和させると言われてきたのは、高性能なセンサーが搭載された自動運転車の場合、前のクルマが動いたら即座に自車も動き出すことができるからだ。人間の場合、「反応の遅れ」が原因で自車を前進させるのが遅れ、これが渋滞の原因の1つとなる。
【参考】関連記事としては「自動運転車が渋滞を緩和させるワケ 米ミシガン大学の研究「たった1台でも軽減」」も参照。
しかしマスク氏は「Self-driving car will amplify traffic to insane levels」とツイートし、「Self-driving car(自動運転車)」が「insane levels(狂気のレベル)」まで「amplify traffic(渋滞を増幅)」すると強調している。
Self-driving car will amplify traffic to insane levels, as you won’t feel the pain of driving yourself
— Elon Musk (@elonmusk) March 6, 2022
その理由としては、「as you won’t feel the pain of driving yourself」と述べている。日本語にすると、「(自動運転車は)自分で運転することに苦痛を感じないため」という意味だ。
少し強引に意訳すると、自動運転車にとっては渋滞が起きようが知ったこっちゃないため、結果として自動運転車は渋滞を悪化させる要因となる、と言いたいのだろう。
■確かに渋滞悪化を指摘する論文はあるが……
確かに、これまでに発表された自動運転車に関する研究論文の中には、自動運転車が渋滞悪化の原因になると指摘しているものもある。しかしその理由は「道路を走行する自動運転車が増え過ぎること」であり、マスク氏が指摘する内容とは異なる。
【参考】上記の研究論文については「注目論文…「自動運転車は逆に渋滞を悪化させる」 ライドシェア普及が要因?」を参照。
マスク氏の指摘は果たして正しいのか、それとも誤っているのか。自動運転社会が実現したあと、その答え合わせをしてみたい。
【参考】関連記事としては「イーロン・マスク氏の口は「災いの元」?米議員「自動運転と誤解」」も参照。