中国における2021年のEV(電気自動車)販売台数ランキングでは、米テスラが中国勢に混じって3位にランクインしている。トップ10で米国勢はテスラのみだが、世界的にテスラの存在感が急速に高まる中、中国の地場系メーカーは戦々恐々としている。
そんな中、中国のEV大手BYD(比亜迪)が、中国のIT大手Baidu(百度)の自動運転技術を採用するという報道があった。百度がアポロとして開発・展開している自動運転システムをBYDが利用できるようになるようだ。
もともと電池メーカーとして1995年に設立されたBYD。2021年のEVの販売台数は五菱(Wuling)に次いで2位だが、自動運転技術やデジタル技術はウイークポイントと指摘されてきた。
百度の技術力でその弱点を埋め、テスラに対して競争力をアップする狙いがあるとみられる。
■イーロン・マスク氏も今回はたじたじ?
百度の自動運転技術の面で中国で屈指の存在といえる。すでに自動運転タクシーを中国国内7都市で展開しており、走行実績を重ねながら自社の自動運転技術をブラッシュアップし、システムの一層の高度化に努めてきた。
一方でテスラはまだ自動運転技術を商用展開できていない。「完全自動運転」という名称の有料オプション「FSD(Full Self-Driving)」も、まだ機能はADAS(先進運転支援システム)レベルにとどまっている。
こうした状況の中、BYDにとって百度の技術を活用できるようになるのは大きい。研究レベルでは百度とテスラの技術力がどちらが上かは分からないが、実績から言えばすでにテスラは百度に大きく差をつけられているからだ。
テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏も、今回のBYDと百度のタッグにはたじたじかもしれない。
【参考】関連記事としては「百度の自動運転タクシー、もう7都市目!日本なら東名阪札仙広福」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)