世界各地で自動運転シャトルが実際に活躍し始めている。日本も例外ではない。すでに実サービスとして運用されている例もあるほか、実証実験も盛んに行われるようになってきている。
そんな中、いま最も日本で最もポピュラーな自動運転シャトルと言えば、どのメーカーのどの車種だろうか。恐らく業界関係者の多くが仏ナビヤ社の「ARMA(アルマ)」と口にするのではないか。
このほか国産の自動運転シャトルとして、トヨタが開発するe-Palette(イーパレット)にも注目したいところだ。
記事の目次
■仏NAVYAの「ARMA」:BOLDLYなどが各地で実証・実用化
自動運転シャトルバスとして世界随一の実績を誇る仏NAVYAが開発した「ARMA」。最高時速25キロ、乗車定員15人のボックス型車両で、1回の充電で約9時間の自動走行が可能だ。世界20カ国以上で導入されている。
国内ではソフトバンク系のBOLDLY(ボードリー)やマクニカなどが、各地で実証・実用化を進めている。茨城県境町ではARMAが2020年11月から実用化されている。
▼NAVYA公式サイト
https://navya.tech/en/
【参考】関連記事としては「境町の自動運転バス、サービス大幅拡充!ルート拡大、LINEでのオンデマンド運行も」も参照。
■トヨタ自動車の「e-Palette」:東京五輪の選手村で導入
2021年の東京五輪・パラリンピックの選手村にも採用されたトヨタ自動車の「e-Palette」。2018年にトヨタの次世代モビリティのあり方を象徴するモデルとして発表された。オペレーターを含む20人乗りで、最高時速19キロ、航続距離は150キロだ。
移動サービスとしての利用だけではなく、小売のための空間や移動ホテルなど、多様な用途での活用に期待が集まっている。トヨタが建設中の実証都市「Woven City」では大々的に導入されるとみられている。
【参考】関連記事としては「トヨタのe-Palette(イーパレット)とは?自動運転EV、東京五輪で事故」も参照。
■仏EasyMileの「EZ10」:DeNAが実証実験で活用
2014年創業の仏スタートアップのEasyMileは、レベル4の自動運転シャトルを開発している。ARMAと同じくボックス型で、最高時速は約40キロ、12人乗りのシャトルだ。大雨や雪、霧などの天候にも対応し、マイナス15〜45度の環境下でも走行可能だという。
日本ではDeNAが2016年にEZ10を導入した取り組みを始め、公共施設や商業施設、大学敷地内、公道での実証に活用された。DeNAとEasyMileは「ロボットシャトル」として完全自動運転車両による交通サービスの展開を目指しているようだ。
▼EasyMile公式サイト
https://easymile.com/
■米GM傘下Cruiseの「Origin」:いずれ日本でデビュー?
まだ日本では展開されていないが、米GM傘下Cruiseとホンダが共同開発している「Origin」も、いずれ日本で自動運転シャトルとして活用されるとみられている。
Originは、ハンドルやペダル、ミラーなどがなく、シートが中心に向かい合って配置された6人乗りのボックスタイプの車両だ。USB端子やモニターを備え、鍵穴の代用としてナンバーを押す装置が装備されている。車両は完全電動化されている。
▼Cruise公式サイト
https://www.getcruise.com/
【参考】関連記事としては「GM傘下Cruise、自動運転の年表!ハンドルなしのポッド型「Origin」を発表」も参照。
■数年後はどういう状況になっている?
現時点ではARMAの存在感が大きいが、e-PaletteやOriginの実用化が始まれば、状況は変わってくるかもしれない。もちろん、数年後、全く別な車種が日本で一番ポピュラーな存在になっている可能性もある。さて、どうなるか。
【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧(2021年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)