自動運転向けLiDAR開発企業、株価的には苦しい1年だったが……

研究開発から事業拡大へ、上昇トレンドは近い?



出典:Trading View(※チャート内の騰落率は後述の騰落率とは一致しない。記事内ではYahoo!Financeのデータを引用 ※クリックorタップすると拡大できます)

自動運転の際に重要な役割を果たすセンサー「LiDAR」(ライダー)。2021年はLiDARを開発するベンチャー企業がアメリカ市場に続々と上場する1年となった。

一方、上場はしたものの株価が振るっていないケースが目立つ。LiDAR企業の2021年の株価のパフォーマンスを調べてみた。


■マイナス幅が最も小さかったのは「Luminar

2021年の年間騰落率では、アメリカ市場に上場している6社はいずれもマイナスとなっている。最も下落が大きかったのはVelodyne Lidarでマイナス78.82%だった。Ousterがマイナス60.00%、Innoviz Technologiesがマイナス54.88%、AEyeがマイナス54.68%と続いた。

企業年間騰落率
Luminar Technologies(LAZR)-46.04%
Velodyne Lidar(VLDR)-78.82%
Innoviz Technologies(INVZ)-54.88%
AEye(LIDR)-54.68%
Aeva Technologies(AEVA)-53.90%
Ouster(OUST)-60.00%

下落幅が最も小さかったのはLuminar Technologiesでマイナス46.04%。ただし12月の1カ月間に限れば、プラス16.46%と株価が回復基調にある。Luminarに関しては11月、半導体大手の米エヌビディアの自動運転システムにLiDARを提供することが発表された。

■LiDAR市場が有望であることに変わりはない

LiDAR各社の株価が2021年は軒並み下落したが、だからといってLiDAR市場が有望ではないかと言えば、決してそうではない。

日本の民間調査会社である矢野経済研究所が2020年10月に公表した世界市場予測によれば、LiDAR市場の規模(メーカー出荷金額ベース)は2020年は5億8,000億円(予測値)だったが、2025年には84億6,000万円(予測値)まで伸びるという。5年で15倍近くになる予測だ。


出典:矢野経済研究所(※クリックorタップすると拡大できます)

それなのに2021年にLiDAR企業の株価が振るわなかったのは、2021年は小型のグロース株(成長株)のパフォーマンスが振るわなかったことや、SPAC(特定買収目的会社)を利用した上場に対する風当たりが強かったことなどが背景にあるとみられる。

一方で最近では、LiDAR企業が自動運転車の開発メーカーと提携し、売り先を確保したという報道発表も散見するようになった。研究開発から本格的な事業拡大へ、LiDAR業界全体がシフトし始めている。LiDAR企業の株価が上昇トレンドに入るのも近いかもしれない。

※編注:この記事は特定の株式銘柄への投資を推奨するものではありません。

【参考】関連記事としては「LiDAR企業の売上高ランキング!自動運転向けセンサー、1位は?」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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