⾃動運転バスの信号認識「通信方式が必須」!岐阜市での実証実験で試す

実証実験の業務をBOLDLYが受託



出典:BOLDLYプレスリリース

ソフトバンク子会社のBOLDLY株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社⻑兼CEO:佐治友基)は、岐阜市で実施される自動運転バスの実証実験に関する業務を受託したことを発表した。

この実証実験は岐阜市が2021年10月23〜31日にかけて実施するもので、「乗務員がいないバス」の実⽤化に向けた取り組みだ。実証実験の実績が豊富なBOLDLYが、また新たな実証実験の業務を受託したことになる。


詳しくは後述するが、今回の実証実験の見所の一つが、自動運転バスが信号を「通信方式」で認識することだ。

■「自動運転バスには通信方式が必須」

BOLDLYが今回受託した業務内容は以下の通り。

  • 走行ルート提案および企画立案
  • 走行環境や通信環境など自動走行に必要な情報の調査
  • 自動運転車両の貸与
  • 自動運転車両の設定および走行ルートのマッピング
  • 行政との調整
  • 運転手の派遣
  • 自動運転バスの運行管理
  • 信号協調システムの設置および交通信号機と車両との連携設定
  • 顔認証システムとの連携

この中で特に注目したいのが「信号協調システム」だ。信号協調システムには「通信方式」と「カメラ方式」の2種類があり、今回は通信方式で自動運転バスが信号機の色を認識する。

BOLDLYは過去の信号協調の実証実験をもとに、「自動運転バスには通信方式が必須」であると結論づけている。カメラ方式の場合、信号機の灯火色を確実に認識するのが困難なため急制動が起こりやすい。そうなると、バス車内での転倒事故につながる恐れがあるからだ。


しかし、通信方式であれば灯火色の表示切り替えタイミングが事前に分かるため、余裕を持ってスムーズに加減速を行うことができ、乗客に快適な乗り心地を提供することが可能になる。

■Dispatcherを活用、市役所から遠隔監視

BOLDLYは岐阜市における実証実験で、自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を活用する。実証実験で毎回活用されるBOLDLYが自社開発したソリューションだ。

Dispatcherは岐阜市役所内に設置され、自動運転バスの遠隔監視や顔認証による乗客の確認、疑似決済の実験に利用される。顔認証による擬似決済は、乗車運賃のキャッシュレス決済を想定しているという。

自動運転バス車両としては仏Navya(ナビヤ)製の「NAVYA ARMA」が使用される。


出典:BOLDLYプレスリリース
■実証実験の成果に注目

茨城県境町にて自動運転バスの定常運行を実施していることでも知られるBOLDLY。今回の実証実験は自動運転バスの走行技術だけでなく、乗車体験の改善にも注目している印象で、豊富な実績や知見を土台に、今回の実証実験でどんな成果を出せるのか、注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事