売上高84億円超!Preferred Networks第7期決算、自律移動ロボ事業は新会社に移管

第7期、最終損益は12億1,800万円の赤字



出典:官報(クリックorタップすると拡大できます)

自律移動ロボットの開発も手掛けるAI(人工知能)ベンチャーの株式会社Preferred Networks(本社:東京都千代田区/代表取締役:西川徹)の第7期決算(2020年2月〜2021年1月)が、官報に掲載された。

Preferred Networksは日本では数少ないユニコーン(企業価値が10億ドル以上の非上場企業)の1社に数えられる。第7期び売上高は84億8,600万円で、営業損失は10億1,300万円、経常損失は10億1,700万円。最終損益は12億1,800万円の赤字だった。


■Preferred Networks第7期決算概要

賃借対照表の要旨(単位:百万円)
資産の部
流動資産 22,454
固定資産 3,303
資産合計 25,758
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負債の部
流動負債 3,800
(うち引当金) (309)
固定負債 4,714
負債合計 8,515
純資産の部
株主資本 17,013
資本金 8,015
資本剰余金 7,993
資本準備金 7,993
利益剰余金 1,004
その他利益剰余金 1,004
新株予約権 228
純資産合計 17,242
負債・純資産合計 25,758

損益計算書の要旨(単位:百万円)
売上高 8,486
売上原価1,711
売上総損益 6,775
販売費及び一般管理費 7,789
営業損失 1,013
営業外収益 25
営業外費用 29
経常損失 1,017
税引前当期純損失 1,017
法人税、住民税及び事業税 3
法人税等調整額 196
当期純損失 1,218

■Preferred Networksのこれまでの取り組み

2014年設立のPreferred Networksは、自動運転技術や産業用ロボットの高度化、がんの早期診断などに関する取り組みを進めている。2019年には経済産業省主催の第5回日本ベンチャー大賞において「日本ベンチャー大賞(内閣総理大臣賞)」を受賞している。

創業当時から自動運転やコネクテッドカーに必須の「物体認識技術」や「車両情報解析」の研究開発をトヨタ自動車と共同で進めており、2015年12月にはモビリティ事業分野におけるAI技術の共同研究・開発を進めることを目指し、トヨタ自動車から10億円の出資を受けた。2017年8月にも約105億円の追加出資を受けている。


2019年には大手ゼネコンの鹿島建設と共同研究をスタートした。現場画像や3Dデータ、図面情報などを収集してシステムに深層学習させながら、コスト面も加味した実用的なセンサー構成の検討を進めて現場での実証実験を重ねてきた。2021年3月には建築現場で使用するロボットのための自律移動システムである「iNoh(アイノー)」を共同開発したと発表した。

iNohは、カメラやLiDARなどのデータを統合して3次元空間マッピングデータを活用することで、リアルタイムに自己位置を把握し、非GNSS(全球測位衛星システム)環境でも自律移動が可能だ。

■自律移動ロボ事業は新会社Preferred Roboticsへ

ちなみに第7期決算公告では、Preferred Networksの自律移動ロボ事業を、新設分割で設ける新会社Preferred Roboticsに移管することも説明されている。Preferred Roboticsについては詳しいことはまだ発表されていないが、今後の動きに注目していきたいところだ。

【参考】関連記事としては「Preferred Networks、建築現場用ロボ向けに自律移動システムを開発」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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