ドイツの自動車部品サプライヤーであるZFは2021年10月7日、自動運転シャトルにおける「フルサプライヤー」になると宣言した。
自動運転シャトルの車両そのものを提供するだけではなく、自動運転シャトルを使った移動サービスの計画・導入・運用・保守・管理なども請け負うという。交通事業者が単独で自動運転車を使いこなそうとしても難しいからだ。
ZFが提供する自動運転シャトルは電動式で、導入することで都市の環境問題の緩和にも貢献できると強調している。また、早くも都市部の交通事業者に提案を行い始めているという。
■「フルサプライヤー」と呼ばれるために
ZFは自分たちが「フルサプライヤー」と呼ばれるために、網羅的にソリューションを提供していく考えのようだ。車両の導入や移動サービスの計画・運用のほかにも、信号機や速度表示などの交通インフラとの連携、乗客向けアプリの開発までも手掛けるらしい。
廃線となった鉄道路線に自動運転シャトルを走行させることも可能だといい、ZFは「渋滞による遅延がないという点で、乗客とって特に魅力的」と述べている。
ZFがこうした動きを見せているのは、2019年に自動運転移動サービスを手掛ける2getthereを買収するなどし、自動運転シャトルに関するさまざまなノウハウが社内で蓄積されたからだと考えられる。
ちなみにZFは2021年4月に中国の自動車メーカーである上海汽車集団(SAIC)と、自動運転向け4Dフルレンジレーダーの生産に関して契約を締結している。自動運転シャトル向けではないが、市販車向けの自動運転ソリューションの展開にも力を入れているということだ。
■将来優位に立つサプライヤーは?
ZFは自動車部品サプライヤーだ。そのため今回の宣言は、日本のデンソーなどにとって気になる動きと言えよう。
現在はまだ自動運転シャトルの数は世界でも決して多くないが、いずれはどんどん普及していくはずだ。そのときにサプライヤーとして優位に立てているのはどの企業か、今から注目してきたい。
【参考】関連記事としては「米半導体大手ザイリンクスと独部品大手ZF、自動運転分野で提携」も参照。